「学校でいじめられて不登校になってしまった」
最近では学校でのいじめニュースがテレビでよく取り上げられるようになりました。
いじめを把握していながら放置している学校、知らぬの一点張りの周りの子供たち。
中には若くしてこの世を自らの手で去ってしまう子供もいます。
これはほんとうに悲しいことです。
学校のいじめは不登校を助長する原因の一つです。
こちらのページでは、学校のいじめがどうして不登校につながるのか、親御様はどのように対応したらいいのかをご紹介いたします。
目次
1.学校のトラウマ記憶とは
2.学校へ行けなくなる4つのプロセス
3.トラウマ記憶の2つのモデル
3-1.ピラミッドモデル
3-2.弱点モデル
4.学校でいじめがあった時、親はどうすればいいか?
(絶対にしてはいけないこと)
5.追伸
1.学校のトラウマ記憶とは
学校で子供が受けるいじめは、主にクラスメートや先輩、先生からの無視、疎外や悪口、暴力、暴言などが挙げられます。
他にも
・保育園
・幼稚園の園児、先生、
・他の園児の父母
・小学校から高校までのクラスメート
・先輩、後輩、それらの父母
・教師
・部活の先輩後輩と同期
・顧問やコーチ、
・委員会や学祭など期間限定での人間関係
・学童保育
・塾や習いモノなど、あらゆるところでの人間関係
いじめがトラウマ、ストレスとなり子供の記憶に刻み込まれます。
これを「トラウマ記憶」と言います。
この「トラウマ記憶」が蓄積されると、子供の自己防衛本能が働き、子供を学校へ行かさないよう働きかけ、結果、不登校を引き起こすようになります。
2.学校へ行けなくなる4つのプロセス
子供がいじめによって学校に行けなくなるのは、4つのプロセスで説明できます。
プロセス1
子供が学校がらみの人間関係からストレスやトラウマを受ける
↓
プロセス2
ある程度その記憶が大量に蓄積される
↓
プロセス3
その記憶の映像や音声などに基づいて、脳が「学校へ行ってはいけない、またストレスを受けてしまう、危険だ」と判断する
↓
プロセス4
学校へ行かせないために脳が
精神症状
身体症状
知性や理性の低下
行動の変化
のいずれかを引き起こし登校を阻止する
たとえば対人恐怖、朝起きられない、腹痛や下痢など
学校へ行かなくてよくなると、急に体調がよくなるお子さんがいます。
さっきまで、辛そうにしていたのにケロッとするものだからびっくりされる親御様もいます。
その時、この4つのプロセスを理解していないと、
「うちの子供は甘えている」
「いつからこんなになまけものになってしまったんだ」
「学校サボりたいだけだろう!」
そんなふうに思ってしまう親御様もいらっしゃいます。
ただ、これは間違いです。
子供は、自らが直面するストレス・恐怖から身を守るために本能的にこれらの行動を取っているのです。
それを親の勝手な決めつけで無理に学校へ連れ出そうものなら誰も味方のいないお子さんをさらに孤立させてしまうことにつながりかねません。
ちなみに、不登校には
・トラウマ記憶のみによって不登校になるパターン
・親に不登校の原因がある子供にいじめが重なり、自己肯定感がさらに下がり、回避性を誘発して不登校になる
2つのパターンがあります。
前者のトラウマ記憶のみによって不登校になるパターンでは、トラウマ記憶のあり方として
・ピラミッドモデル
・弱点モデル
の2つのモデルがありますので、詳しく紹介していきますね。
3.トラウマ記憶の2つのモデル
3-1.「ピラミッドモデル」
このモデルは、幼少期(多くは幼稚園)からの、家族を含まない外部の人間関係のストレスの記憶が、ピラミッド状に、古い順に積み重なってゆく、というモデルです。
土台部には幼少期のトラウマの記憶、中間部には小学校~中学校のトラウマの記憶が古い順に積み重なり、上部には現在の症状や不登校という問題を表すキャップがのります。
シンプルで複雑なところは特にありません。
不登校を直接引き起こす原因は、ここに含まれています。
ピラミッドモデルでの不登校セラピー事例
A君は男子中学生。
小学校5年生の時、それまで仲良くしていた男子数名から突然いじめを受けるようになりました。
パンツをずらされる、ほうきで叩かれる、後ろから殴る蹴る、つばをかけられる。
先生は見て見ぬふり、それどころかいじめる側に加担し、「いじめられるお宅のお子さんに問題があるんじゃないんですか」と。
子供問題の相談所に通いはじめ、そこでかなりの回数の暴露療法を受けます。
この療法は相当きつかったようですが、家で荒れていたのが落ち着きを見せ、半年ぐらいで治療を終了したそうです。
しかし、学校へは相変わらず行きません。
人の目を気にし、家ではまた荒れ、ゲーム中毒に…
偶然不登校セラピーのことを知ったお父さんからご依頼を受け、カウンセリングがスタート。
カウンセリングの1回目が終わり、家に帰ったA君を見たお父さんは「目が違う」と。
落ち着いた目になったそうです。
お母さんは「活発になってきた。素の元気や知的好奇心を取り戻しつつある」と感じられたそうです。
カウンセリングは順調に進み、7回でいったん終了。
中学には今まで一度も行っておらず、いじめにより転校して友達もいませんでした。
いきなり行くのはハードルが高そうであることから、市の適応教室に通い出しました。
ちなみに現在その子は現在大学生になり、元気に大学に通っているそうです。
3-2.「弱点モデル」
いじめのよくありがちな原因として、
・欠点やコンプレックス
・嘘やミス
などがあります。
主に見た目や容姿、運動能力などの欠点やコンプレックスに対して、いじめなどのトラウマが生まれます。
これらを弱点と呼ぶのは私自身気が進みませんが、他に適切な言葉が見当たらないので弱点と呼ばせてもらいます。
過去の相談ケースを参考にすると、たとえば
・肌が色黒(女の子の場合)
・ハーフ(目の色等)
・ある種の身体障害がある
・運動が下手
など、子供の目から見てもわかりやすいコンプレックスがあると、いじめやからかい、蔑視や悪口などを誘発しやすく、不登校の強い原因となります。
こういった記憶を思い出すときも子供はパニックを引き起こしやすくなります。
また、その子が嘘をついてしまったことで反感を買い、いじめや疎外を引き起こしたり、ある種のミスをしてしまったことでいじめを受けるようなケースもあります。
4.学校でいじめがあった時、親はどうすればいいか?(絶対にしてはいけないこと)
まず、気をつけなければならないのが、大半のお子さんはいじめられていても、それを親御様には言えません。
親には迷惑や心配をかけたくないと思っているのです。
もし、お子さんが学校に行きたくないと言って来た時は、「もしかしたらいじめがあったのかも?」と思いましょう。
また、いじめにあっていることを告白してくれた子供に対して
・いじめられる側にも問題があると諭すこと
・本当にいじめられているのか?と子供を疑う
このような行動は絶対にとってはいけません。
最後の拠り所である親にこのような行動を取られてしまったら、もうお子さんは誰も頼ることができません。
不登校だけでなく、部屋からも出てこれなくなるかもしれません。
不登校の相談を受けた親御さんはまず、
「話してくれてありがとう。辛かったね。気づいてあげられなくてごめんね。」
といった受容する姿勢を見せ、子供の味方であることを教えてあげてください。
お子さんは親の小さな行動・発言に大きな影響を受けます。
逆を言えば、その対応さえしっかりしていれば、お子さんは自発的に不登校を改善するのです。
不登校のお子さんへの対応方法、考え方をまとめたページがありますので、良ければそちらを参考にしてみてください。
5.追伸
さて、学校でのイジメが原因で子供が不登校になってしまったら、どうやって解決したらいいのでしょうか?
>今すぐお子さんの不登校を改善されたい方は、個別カウンセリングにお越しください。
>まずは親自身の力で解決を試みたい方は「自宅ケアテクニック」がオススメです。