よくあるご質問と、私の回答をまとめました。ぜひご家庭での対応の参考になさってください。
子供の問題と対応
- 朝起きられない、昼夜逆転、夜眠れない
Q
朝起きない、夜寝ない、昼間に眠る
これらをどう解決すれば良いのでしょうか?A
低血圧や低血糖などの医学的原因を除き、これらの睡眠の問題は、自己肯定感が低いために起きます。
自己肯定感が低くなる原因は次の3つです。
- 家庭で親御様から共感されていない
- 対人不安(対人恐怖/対人緊張)がある
- 見捨てられ不安がある(自己肯定感が低い)
これらの要因によって強いストレスを受け、自律神経系が乱れ睡眠サイクルが狂います。
心理的に言えば、これらのストレスによって
「明日が来て欲しくない、朝起きるのが辛い、学校へ行かねばならないから、学校へ行きたくないから」
などの状態になっているようです。親御様がご家庭で取り組める解決策としては、まずホンモノ共感から取り組むことをお勧めします。
ホンモノ共感に取り組むだけでかなり睡眠に関しては改善するケースもあります。
- ゲーム依存、ネット依存、スマホ依存
Q
目が覚めた瞬間からスマホをいじり(ゲームを始め)、眠りにつくまで手放さない、こんな状態をどう改善すれば良いのでしょうか?
A
ゲーム、ネット、スマホ、その他YouTube動画、パソコン、アニメ、マンガ、などの依存状態になる子はかなりいます。
これらの本質はすべて2次元であるということです。つまり3次元の現実世界が彼らにとって
「辛い世界、関わりたくない、不安に満ちている」
などと感じられているため、それらを感じずに済む2次元の世界に閉じこもってしまうのです。もう一つゲーム依存の理由として、超完璧主義(認められない不安)があります。
「時間に対する完璧主義」つまり「時間をムダにしてはいけない、早くしなくてはいけない」などが家庭において親御様から植え付けられると、後にゲーム依存の種となります。この解決方法です。
ゲームなどは彼らにとって貴重な逃げ場となっているので、取り上げる事は好ましくありません。したがってこれらへの依存は依存と考えずにそのまま認めて与えてあげるのが良いと思われます。そしてそれらの根本原因、つまりなぜ3次元の世界が彼らにとって辛い世界なのか?を解明すること。そしてそれらを変えていくことが必要です。次に完璧主義的な考え方を親御様が捨てること、特に時間の完璧主義に関してはほとんどの親がこれを持っています。ご自身を注意深く観察して時間に関する完璧主義を捨ててください。
人に迷惑をかけてはいけないという考えで子育てをするのも、「時間をムダにする」⇒「人に迷惑をかける」となるので、その考えも捨ててください。
- 「ゲーム買って」、金遣いが不安
Q
新しいゲームが出るとすぐに買いたがります。物欲が抑えられないワガママな子になってしまいました。多少は買ってあげたいとは思っていますが、あまりに要求されると経済的にムリですし、このままではガマンのきかない子になるのでは、と不安です。
A
ゲーム依存やネット関係の金遣いについても、多くの親御様にとって不安の種となります。次から次へと出る新しいゲームソフトやゲームの機種、これらに子供は抗うことができません。
これらも彼らにとって貴重な逃げ場であり、また多くの子供にとって唯一他の世界、ゲームを通じて他の子とつながる手段でもあります。むやみに抑えつけたりダメダメと言うのは避けましょう。
そしてお子様が落ち着いているときに冷静に話し合い、月いくらまでならこういったことに費やしていいのかをお互い納得がいくように取り決め、その範囲でなら使っていいとしてあげるのが良いと思います。
ただこれもお子様によってはなかなか守れず破ることがあるかもしれません。だからといってそれに対して厳しく目くじらを立てずに、ある程度の裁量の範囲で許してあげてください。
- 何でもめんどくさがる
Q
子供は、何を話していても、二言目には「めんどい、だるい」といいます。めんどくさがって、自分がやりたいこと以外は動こうとしません。こんなことで大丈夫なのでしょうか?将来無気力人間になるのではないかと不安です。
A
何に対してめんどくさがるのかにもある程度よりますが、なんでも“めんどくさいだるい”と連発する本当の原因は
- 自己肯定感が低い(見捨てられ不安がある)こと
- 回避性があること
この2点です。
回避性とは、頭の中で物事の成り行きをシミュレーションし、“うまくいかないかもしれない、失敗するかもしれない、つまずくかもしれない”などの結果をはじき出すと、その物事に取り組むことを回避する、という性質です。
したがって、「これはもうちゃんとできない」と思ったなら、「うまくいかないならもう最初から取り組まない」という判断を下しやすくなります。
なぜなら、うまくいかないことによって、
“(誰かから)怒られたり、人を嘆かせたり、落胆させたり、調和を乱したり”というように、周囲の反応が不安になってしまうからです。これはすなわち自己肯定感の低さ、つまりうまくいかないと人から見捨てられるかも、という不安につながるため、彼らからすると避けざるを得ないのです。
これを正確に言うなら、
「私はこれを様々な問題を乗り越え成功に導くのが面倒です」
「人に気を使いながら様々な物事を取り組んでいくのはちょっとだるいです」
となります。ただ彼らはそれをうまく説明できませんし、できたとしても日常会話でそんな言葉を使う人はいませんよね。ですから、短く略して「めんどい、だるい」と言っているのです。
だるいとは気を使うということです。
つまりこの問題の解決は、根本的に見捨てられ不安を解決する事が必要になってきます。また普段の生活において、親御様や大人は失敗、ミス、取り組まないことに対して、決して嫌な顔をせず非難をせず、責めるような事は一切せず、全てを受け容れるよう気をつけてください。心の中も、顔表情もそうであるように、気をつけてください。
- 完璧主義、「ゼロか100か」(ダメならやらない)が強すぎる
Q
宿題には取り組むのですが、朝までに完璧に終わらないと、もうすべてやる気をなくします。キレて暴れることもあります。「そんなに完璧じゃなくてもいいんだよ」と両親とも声をかけますし、先生もそう言ってくださっていますが、頑として受け容れません。どうすれば良いのでしょうか。
A
完璧主義、ゼロ100、うまくいかないならもう最初から取り組まない。お子様のこういった極端な考え方に悩んでいる親御様も多いと思います。
根源は見捨てられ不安ですが、その表面的な理由は様々なものがあります。
見捨てられ不安から逃れるために、何かを完璧に遂行し評価を受けること、つまりその裏は親から認められること(自分の存在意義を確認すること)。
見捨てられ不安から逃れるために、失敗を避けること。つまり取り組めば失敗する可能性があることには、最初から取り組まないこと。
これらは回避性です。これらが強く生まれる背景には
- 親御様の共感不足
- 子供に早く甘えない人間になって欲しい、弱さ幼さを捨てて欲しい、etcという、親御様の歪んだ願い(信念、願望)
- 親御様のつらい苦しい生き方を見て生きてきた
などがあります。
したがって親御様は、まずはホンモノ共感に取り組むこと、そしてご自身の完璧主義や、隠れた歪んだ信念(子供にこうなって欲しいという願望)を見つけだし、それを打ち消していくこと、これらに取り組んでください。
また、ご自身の生き方を見直すことをお勧めします。
- ワガママ、すぐキレる、暴れる
Q
子供はちょっとでも気に入らないことがあると、すぐにキレて暴れて手がつけられません。どうすれば良いのでしょうか。
A
親から見て、この子は
“ワガママ”
“すぐキレて暴れてどうしょうもない”
“手のつけられない”
子だ、どうすればいいのか?というご相談もよくあります。ところがそれらのケースで仔細に情報を得ていくと、実は
- 間違った共感や言葉がけをしてしまっている
- 会話やコミュニケーション、共感がうまくいっていない、スムーズでない
- 子供が求めているものを与えることができていない
などのために、子供がそれに対するイラだちや怒りを表現している、
などがほぼ全ての真の原因だった、と言えます。
さらに暴れる場合を含め、子供の問題行動は、SOSだと考えてください。
とても心が苦しくて、それを言葉で表現することができず、体で表現する。その時は破壊的な衝動、怒りも混ざっているのでモノを壊したり、ときには人に対する暴力として現れます。
つまり解決策は、親御様が徹底的に共感やコミュニケーションを見直してお子様にそれらをできるようになること。
そして荒れたり暴れたりするときは、一体何のSOSなのかをじっくり読み取ってあげること。この2つが根本の解決策です。
- 「死にたい、生きてる意味がない」と言う
Q
よく「死にたい」「生きてて何の意味があるの」と言っています。あとで聞き直すと「大した意味はない」などと言うこともあるし、「何でわからないの。だからダメなんだ」と怒られることもあります。本当はどうなのか、自殺してしまわないか心配でなりません。
A
子供が生きる意味とは、
「人間関係が豊かなこと、友達が多いこと、あるいは友達関係がうまくいっていること」
なのです。そしてその人間関係の中で、
「自分が周りの人たちから受け容れられている、嫌われていない、大切にされている」
と心の底から無条件に思えることなのです。これがあれば子供は生きる意味があると感じるのです。
豊かな人間関係でうまくいっていると子供が感じる。これ、実は、根本は親との関係を反映しています。
つまり親子関係がうまくいっていないと、いくら表面的な人間関係友達関係がうまくいこうと、子供は“死にたい、生きる意味がない”と感じるのです。
親子関係がうまくいっていないとは、つまり共感やコミュニケーション、愛着関係ができていない、ということになります。
したがって彼らに生きる目的意味を見出してもらうためには、親子関係を根本から徹底的に見直すこと、つまり愛着関係やコミュニケーション、ホンモノ共感を親御様が身につけることが必須です。
ちなみに学校あるいは環境を変えることはこの根本的な解決にはなりません。
- 不安が強い
Q
子供が何に対しても不安が強いです。夜や暗いところ、一人での行動、知らないところ、初めての人、何でも怖がり不安がります。どうすれば良いのでしょうか。
A
不安が強い場合、その原因は総じて幼少期からの愛着関係がうまくできていないことにあります。一見問題がないように見えて、安心も共感もない家庭はかなりあります。
(親から与えられた)安心に基づく思考パターンという土台ができていないので、不安な思考パターンに振れやすいのです。ちなみに不安が強い親御様も同じです。
解決は、見捨てられ不安の存在に注意しながら、親子の愛着関係を根底から見直し再構築していくことです。
- カウンセリングを受けさせるには
Q
子供にカウンセリングを受けさせたいのですが、良い言い方がわかりません。
A
お子さんがカウンセリングを受けてくれる(拒否しない)可能性はあると思うが、下手な言い方をすると聞いてくれない、そうご心配の親御様は多くいらっしゃいます。
たとえば、これはあるケースで私がアドバイスした言い方です。
「お母さんはもっと前向きに、幸せな生き方をしたいと思う。今までそうではなかったことで、あなた(お子様のこと)にも影響があったと思う。だからこれから自分をもっと変えたい。ただ、自力でやったら何年かかるかわからないし、間違えるかもしれない。だから、専門家のところに行きたい。今日話してみて安心できると思ったし、その専門家は不登校もかなり見てくれ、あなたの苦しみも相談できる。だから、一緒に行ってほしい」これは、「お母さんが悪い」と子供に思わせない、かつ前向きに進もうとしている、という印象を持ってもらうための言葉です。これがベストがどうかはわかりませんが、色々工夫することができます。
- カウンセリングを嫌がる
Q
親の力ではもうどうしようもありませんので、子供にカウンセリングを受けさせたいのですが、とても嫌がります。どうすればいいでしょうか。
A
お子様がカウンセリングを嫌がる理由は様々あります。しかしどんな理由であれ、それを説得して受けさせることは、ほぼ不可能です。どうすれば子供をカウンセリングに連れて行けるかというご質問をよく受けますが、残念ながら魔法のセリフなどはありません。
従って、ご両親様が愛着関係や共感を積み重ねながらお子様の考えや不安、気持ちが軟化するのをじっくり待つか、お子様抜きでカウンセリングを開始して進めることが良いと思います。
- 親を完全無視する、会話を一切拒否する
Q
部屋に入ると完全無視されます、あるいは怒り出します。何を話しかけてもずっとパソコンの方を向いたまま返事してくれなくなりました。どうすればいいでしょうか。
A
一旦親子関係が断絶状態になると、短期的に回復させるのはとても困難です。こういった場合親御様は否定や反論癖、話を聞かない、高圧的、威圧的、などの特徴が強く、お子様は「どうせこの人に何を言ってもムダ」と完全に見限っているのではないかと思います。つまり愛着関係を作ることが全くといっていいほどできていなかったのです。
従って、親御様はご自身の考えの歪みを根本から見直し、ホンモノ共感と親子の愛着関係を作れるように、親御様自身が変わっていくことが大切です。
それができてから、筆談から開始すると何かの反応が返ってくることもあります。いずれにせよ、回復に数年は必要だとお考えください。
- 親はどこまで手を出せば良いのか?
Q
一日中ゴロゴロしている子に、「お母さんあれ持ってきて、あれ買ってきて」と言われると、腹が立ち、したくなくなります。親はそこまで手を出していいのでしょうか?先回りとお膳立てにならないのでしょうか?
A
子供が何かを要求してくる直前の様子をよく観察してください。何か決まったパターンがあるはずです。それが改善の重要な情報になります。
それと親御様がこういう言葉に腹を立てる場合、「交換条件、条件付きの愛」、これらの考え方が親御様には強いはずです。
つまり、
「何もしていない子供になぜ私が何かをしてあげなければならないの?」
「これをあなたがしたら私はこれをしてあげる」
という考え方が強いのです。ギブアンドテークですね。親子関係はギブアンドテークではありません。交換条件や条件付きの愛で子供を動かしてはいけません。そういった考え方はきれいさっぱり捨てて、子供の要求には即断即決で動けるように親御様ご自身が変わってください。
出席日数、単位、進学
- 出席日数、単位
Q
出席日数や単位があと少しで足りなくなります。もう不安でたまりません、どうすれば良いのでしょうか。子供にどう伝えればいいのでしょうか。
A
高校生の場合、出席日数や単位があと少しで足りなくなる、つまり留年もしくは休学もしくは退学の道を選ばなければならない、という状況に陥ることはよくあります。
残念ながら、慌てても騒いでもこれを覆す方法はありません。
親御様自身がまず「1年遅れても人生は大丈夫」と、覚悟をちゃんと決めること。それで子供がダメになるわけではなく、また親子が村八分に遭うわけでもない、と考えてください。
留年休学退学、どの道を選ぶかはお子様とよく相談なさってください。ちなみに、私の知る限り全ての高校生は別の高校への転校を選びます。1つ下の学年の子と授業を受けるというのが(見捨てられ不安が作用して)不安で耐えられないのです。そのことを念頭に置いておいてください。
お子様に伝える場合は、冷静に事実と数字を伝えることです。(親御様の不安な)感情を混ぜないのが良いですね。
- 進級、受験、進学の意志が見られない
Q
学校の事を聞いても「どうでもいい」というような答えが返ってきます。どうすればいいでしょうか。
あるいは、進級できるのでしょうか?進学するにはどうすれば良いでしょうか?A
中学生の場合進級は問題ありませんが、高校受験、大学受験、つまり義務教育より上は進級進学等が難しい場合があります。
ほとんどお子様の能力学力の問題というよりも、お子様の意志が見られないことによるものです。
こういったケースも、他人がレールを敷いて動かすということは現実的に不可能です。根本原因をきちんと見つけて解決し、お子様本人が社会へ向かって動き出す意志を自発的に取り戻せるように、親御様が頑張ってください。
ちなみに、子供が社会や学校へ向かって自発的に動き出す意志は、親子の愛着関係が作り出します。見捨てられ不安がないことも大事です。
従いまして、まずは親子の愛着関係を作るところから取り組んでください。
登校刺激、家庭学習
- どう登校刺激すれば良い?
Q
とにかく早く学校へ行って欲しいです。どう登校刺激すれば良いでしょうか?
A
子供が学校へ行かないこと、あるいは出席日数や登校時間が少ないことを大変不安がり、何とか早く出席を増やそうと、焦って登校刺激を与えようとする親御様は大変多くいます。
また慣れさせる登校(刺激)方法を推奨する不登校関係団体もかなりあります。
私はそのような方法を推奨しません。慣れさせる方法は、根本改善ができていない限り逆に悪化させることも多いのです。逆に、根本改善ができていたら登校刺激など与えずともちゃんと学校へ行きます。
お子様自身が “行きたい、行こう”という意志で、自発的に動くのが最善です。そういった自発的な意志や行動は、愛着理論をきちんと理解して、親御様が実践なさればちゃんと増やす事は可能です。
まずは愛着理論からきちんと理解し、愛着関係を作るところから始めましょう。
- 家でどう勉強させれば良い?
Q
家で勉強はさせたいと思っています。ただ、取り組みにムラがあり、子供自身も困っているようです。どうすればいいでしょうか。
A
家での勉強の障害となるものは、やる気のなさや集中力の欠如です。その原因は見捨てられ不安に起因する回避性です。
それをよく理解し、無理に勉強を意識させたり勉強に誘導するような事はやめてあげてください。ただ当人が勉強を望み、取り組みやすい環境や条件がある場合、条件をうまく設定してあげれば、1時間程度は取り組むことが可能になるケースがあります。
その場合どういった条件での勉強を望んでいるのかを仔細に聞き出し(絶対に反論や否定修正や誘導はしないこと)、その条件を可能な限り実現してあげれば勉強に取り組むことも可能ですし、うまくいけば少しずつ増やすことも可能でしょう。
もちろん根本的には見捨てられ不安と回避性を改善することが必要です。
親、大人の問題
- 主人(妻、祖父母)に理解がない、非協力的
Q
今までの親の接し方や家庭内の雰囲気が悪かったことがよくわかりましたので、親が変わろう、と主人(妻、同居の祖父母)に話すのですが、聞く耳を持ってくれません。どうすれば良いのでしょうか。
A
なぜ協力が必要なのかを、落ち着いて感情的にならず、話し方も相手の立場に配慮し、ちゃんと説明をした上でも協力を拒むのであれば、それ以上を求めるのは私の経験上無理です。その方たちは変わらないでしょう。
これが正解、というのはありませんが、まず望ましいのは離婚、家庭内別居、別居などです。それらをお子様が望まないのであれば、一緒に暮らしつつ接触を最小限にする生活パターンを考え、早期に実施なさってください。
- イライラ、不安が抑えられない、すぐ怒ってしまう
Q
すぐ子供に怒ってしまいます。自分でもよくないとわかっているのですが、止められません。不安も強い方です。どうすればいいでしょうか。
A
イライラや不安、怒ることが子供によくないと分かっているのに怒ってしまうのであれば、あなたにとって
「怒らざるを得ない理由、怒らなければならない理由がある」
と考えられます。ほとんどは
“子供が(親にとって)ワガママ”
“世間的に見てはみ出している”
“同世代の子が当たり前にやっていることがちゃんとできていない”
“同世代の子に比べ(世間一般標準に比べ)何かが違う”
などに対する不安が現れたものです。その不安は、元をたどれば、実は親御様自身の幼少期に辿り着きます。
怒りや不安が抑えられないという親御様は、幼少期から愛着関係をきちんと作ってもらっていなかったり、共感を全く受けていません。その生育過程で見捨てられ不安が生まれているはずです。ちなみに愛情とは関係ありません(愛されてない、というのではない)。
つまり、幼少期における親御様自身の見捨てられ不安が、その形(イライラ、怒り、不安が抑えられない)になって現れているのです。
「我が子がこんな風に育ってしまったら、自分は親(子から見て祖父母)から見捨てられる」
「だからこの子を許せない、だから矯正しなきゃ」
なのです。その見捨てられ不安が何なのかを理解し取り除くことが必要ですが、大人の場合、きちんと理解するだけでもかなり不安の減少には役立つと思います。
従いまして、その不安をきちんと理解することから始めましょう。
- 親(祖父母)に精神病がある
Q
父親が統合失調症と診断されました。どういったことに気をつければ良いでしょうか。
A
どういった精神病かによっても注意点はかなり変わってくると思います。
イライラが長時間続く、
荒れる、
暴れる、
暴言を吐く、
妄想がひどい、
ワケのわからない大声を出す、
躁うつ(ハイな状態と落ちた状態)で周囲を振り回す、
家族に物心いずれかの大きな負担を強いる、
不安定な空気を家庭の中で撒き散らす、これらのような状態ですとかなり良くありません。
お子様も不安でしょうし、親御様が精神的に苦しんでいると不登校の解決が難しくなります。
投薬だけではなくきちんとカウンセリングや悩み相談に乗ってくれる精神科、心療内科にまず通ってください。そして薬で症状を緩和し抑えて少しずつ改善を図りつつ、お子様とうまく距離を取る(不安定なところを見せない)よう、考えて策を講じてあげてください。
- 母子(父子)家庭、単身赴任、別居だが大丈夫か?
Q
片親がいない家庭ですが、大丈夫でしょうか?不登校を解決できるでしょうか?
A
母子家庭もしくは父子家庭であること自体は、解決の支障にはなりません。
協力が必要なお父さんが単身赴任である場合は、一時期何かを考えていただくことになります(半年ぐらいの帰宅、など)。
別居も同様です。お子様が望むのであれば別居を解消することが必要になることもあります。
- 先が見えないのがすごく不安
Q
いつになったら学校へ行けるのか、本当に自立できるのか、わからないのがすごく不安です。
A
確かに、何がいつどうなるかは誰にも言えません。
ただ愛着理論をきちんと理解していれば、子供は必ず社会と交わるという方向に動き出すものである、と安心していただけます。まずは親子の愛着関係について理解してください。
それでもなお強い不安に襲われるのであれば、やはり我が子がレールに乗らないことへの不安、他の同い年の子より遅れていることに対する不安が強いものと思われます。
従いまして、その不安の根源を探り解決することが大切です。
学校、友達への対応
- 先生との連絡、家庭訪問
Q
学校側の連絡や家庭訪問で気をつけることはありますか?
A
先生からの電話を嫌がる、先生の家庭訪問を嫌がるお子様はかなりいらっしゃいます。
学校側とのつながりを保つことは大切で、親御様が先生と連絡を保つこと、あるいは家庭訪問で親御様だけが会うことは必要なことかと思います。
ただそこでお子様と無理に会わせたり話をさせたりする事は、お子様が嫌がる場合は避けてあげてください。
あと、会ったときに先生が正論で登校を誘導したり説得しないように注意なさってください。
- 友人からのメール、ライン、朝のお誘い
Q
友人がラインを送ってくれたり、朝に家まで来てくれ、誘ってくれるのですが、子供が一切拒否します。友人に失礼だと思うし、せっかくの誘いを何とか活かしたいのですが。
A
友人に失礼だというお気持ち、よくわかります。ただ、お子様は会いたくても会えないのです。見捨てられ不安があるからです。
その点を鑑み、友人には親御様から丁寧にお礼を伝え、「本当にありがとう。今はまだムリだけど、いつか登校できるまで改善したら、親としてはまた誘ってあげてほしい」とお伝えしておきましょう。
ラインの友達にはそれは言えませんが、感謝の気持ちを胸に抱いておきましょう。
根本改善すれば、お誘いをうまく利用して、友人と一緒に登下校する子もいます。あきらめずに根本改善を考えていきましょう。