第一原因の発見ストーリー Part.3
見つけた!腹痛因子
ついに見つけた!腹痛を引き起こす原因
正念場の4回目のカウンセリング。父子はまたちゃんと来てくださいました。
覚悟。
トラウマにTFTの「トラウマのアルゴリズム」を行うと、つらい感情が改善されます。しかしヒロキ君のように感情がない場合、使いようがないと思い込んでいました。
一方トラウマにTFTを使い、「今どんな感じですか?」と効果を尋ねると「えっと…なんか思い出しにくくて…」と時々返ってきます。さっきまで苦痛に満ちた顔だったのに。
すなわちトラウマのアルゴリズムを使うと、トラウマの記憶があいまいになるか、思い出しにくくなるのです。一方トラウマではない記憶は影響なし。
この現象を利用すれば?
感情ではなく、記憶そのものに焦点を当ててTFTを使うとどうなる?
新井 「さて今日はね、中学のときのいじめの記憶をぼやかしてみようと思う」
ヒロキ君 「それ、もう感情はないんですけど」
新井 「うん、感情はもう感じてないんだよね。ただ、その時の記憶がずっと残っていて、下痢の引き金になってるんだよね」
ヒロキ君もお父さんもとにかくやってみることに同意してくれました。
彼に中学のときにストレスを与えたのは4人。
YS君・・・元親友。中2のときヒロキ君が彼の嫌がることをしてしまい、それからいじめを受けるように。父親が学校へ連絡、先生が仲裁に入り、今では仲直り。
KW君・・・剣道部の同級生。中2のとき部が勝てないのを他人のせいにし、ヒロキ君ら部員に迷惑をかけていた。「ヒロキが負けたから部が前に進めなかった」。
H君、K君・・・中3の時の不良。授業が進まない程騒ぐ。たまにヒロキ君に手を出す。
一番古い人物から扱ってゆきます。その人が絡んだ悪い出来事の記憶と、その人そのものの記憶がなくなれば良いのではないか、と考えました。
新井 「YS君に嫌がることをしたときの記憶の、今残っている鮮明度を10点とします。
これをぼやかしていきます。今そのシーンはある程度鮮明に思い出せる?」
ヒロキ君 「まあ」
記憶のディテールをぼやかしていこう、と言って私は彼にその記憶を思い出させたまま、TFTのトラウマのアルゴリズムを1回行いました。
新井 「はい、では今そのシーンの鮮明度は何点ですか?」
ヒロキ君 「9」
減った。続けよう。もう2回トラウマのアルゴリズムを行い、4点まで低下しました。
ヒロキ君 「今は映像がチョイぼやけてるけど何とか思い出せる」
もう3回トラウマのアルゴリズムを繰り返し、鮮明度は2点まで下がりました。
ヒロキ君 「映像がほとんど思い出せなくなってきて、やったこと自体が思い出せる」
もう2回繰り返し、鮮明度は1点に。さらに2回繰り返しても、1点のままでした。
ヒロキ君 「映像が思い出せなくて、やったことを憶えてる」
1点分残っているのは映像でも音声でもなく知識でした。やったことは最初から最後まで思い出せる、と彼は言いました。
次はYS君の顔です。
しかしヒロキ君は「今メールのやりとりをしてるから顔を忘れるのはちょっとなあ」。
YS君の行為は、お父さんが「キモいとかウザいとか言われたり、わざわざおまえのところまで来てすれ違いざまに蹴っ飛ばされたりって聞いたけど」。
ヒロキ君はそのときの映像も声ももう思い出せないが「知識としてなら、鮮明度は9か10」と言います。
さあ、知識の記憶をなくせるのか。トラウマのアルゴリズムを1回やって点数は減らず。あきらめの悪い私はもう一度トライ、しかし変わりませんでした。
次にKW君。
新井 「KW君の顔の記憶の鮮明度は?」これにヒロキ君は「基本的に仲良かったんで、顔は忘れたくないんですけど」。
これもか。やさしいな。
では勝てないのをヒロキ君のせいにした時の記憶の鮮明度は?「2-3かなあ」。
トラウマのアルゴリズムを3回行い、鮮明度は1点に。
残ったのは知識のみ。
次は、初めて下痢をしたときのことです。
お父さんは「遠征先の学校の前まで行ったら、おまえが“帰る”ってUターンしたんだ」。このときの記憶の鮮明度は3点。
トラウマのアルゴリズムを2回行い1点に。残ったのはまたも知識のみ、映像音声は思い出せず。
次に、中3のときの不良2名(H君、K君)についても、授業中に暴れまわった記憶と、顔の記憶を思い出せないようにしました。残るは知識だけ。
最後にYS君とKW君の顔です。これも牙をむいたときの顔の記憶を鮮明度ゼロに。
これでカウンセリングは終了。
そして驚くべき結果が待っていました。
お父さんからのメール(原文そのまま、強調は筆者)
新井様
連絡が遅れてすみませんでした。
前回のカウンセリング後のヒロキの状況を報告します。
7/7: 8-13時半トイレ ホームルームのみ出席
7/8: 8-13時40分トイレ ホームルーム+7時間目出席
7/9: 高校野球応援→現地集合現地解散 10時頃電車で出発
朝から下痢の症状出ず。問題なく参加
7/10: 期末テスト 1-3時間出席、教室でクラスメイトと共に試験受ける
朝から下痢の症状出ず。
7/11、14、15同上、問題なく、テスト受ける
7/16、17: テスト返却・説明4時間出席。朝から下痢の症状出ず。問題なし。
7/18: 4時間授業出席。朝から下痢の症状出ず。問題なし。
7/19: 終業式出席。朝から下痢の症状出ず。問題なし。
7/22-25、28:夏休み補修(1教科・・確か数学です)各日2時間 10時半-12時半全て出席 朝から下痢の症状出ず。
以上のように、7/9の野球の応援以降下痢の症状は本日まで、全くでておりません。
本人もかなり、自信になったようで、2学期も大丈夫と言っております。
但し、6時間/7時間の1日フルの出席はしてない点が若干不安に感じます。
(夏休み前の期間のため、午前中授業のみでした)
夏休みに入ってからは、高校の友達の地元夏祭りに参加して神輿をかついだり、カラオケ行ったり、中学の友達と花火見に行ったりと楽しんでいるようです。
次回カウンセリングの日程ですが、8/31土の9:00-12:00で、了解です。
以上、よろしくお願いします。
わずか3日で下痢が消え(4回目は7/6)、少年は教室へ戻ったのです。
その後お二人から確認しましたが、ゼロになった記憶は思い出せず、その後過敏性腸症候群が再発することもなく、誰にも強制されず、安定に登校し続けています。
友人をドンドン作り、高校生活を思いっきり楽しみながら。
この、素晴らしい効果を確認した4回目のカウンセリング動画をご覧下さい。
(2008年に撮影 親御様と本人に撮影と公開に同意いただいています)
重要な知見を得ました。
TFTのトラウマのアルゴリズムを、ストレスフルな対人関係の記憶そのものに対して使うと、いじめの映像の記憶が思い出せなくなりました。知識の記憶は残ったままで。
いじめの映像の記憶が思い出せなくなると、下痢という症状が消失しました。
つまり、いじめの映像の記憶が下痢の原因だった、ということです。
ヒロキ君の下痢には、感情も潜在意識も思考も認知も、無関係でした。もちろん親の育て方も。
なお薬が1年も効果がなかったのが急に効いた、と考察するのは無理があります。