親御様の共感を阻むもの、お子さんの不登校の改善を阻むものは何だと思いますか?
実は阻むものの正体の1つに、親御様の価値観があります。
例えば、ある不登校のお母さんは、子供の食事の好き嫌いやちょっとした体調不良の訴えに対して、全く共感できず、すぐに解決策を言ってしまっていました。もったいないですよね。
親御様としては、共感すればいいのは頭ではわかっていても、無意識のうちに口が共感ではなく、解決や提案を言ってしまうことが悩みでした。
その原因を深く探っていくと、こんな価値観が出てきました。
・子供の健康管理は母親の役目、子供が不健康だと「あのお母さんは健康管理ができていない。」と世間から白い目で見られる。
だからこそ、「子供は健康で元気で食べ物の好き嫌いなく、我慢強く、勉強もできる、スーパーマンみたいな子に育てたい。」という思いでつい提案し、解決しようとしてしまっていたのです。
親御様としては、そうすれば子供は幸せになれると思い込んでいました。
なぜ、スーパーマンになれば、子供は幸せなのか?
それは人に好かれ、自分のしたいことが自由にでき、人から褒められ、行きたい大学に行けて、選択肢の幅が広がると思い込んでいたのです。
しかしさらにより深く、親御様に追求していくと、「これらは本当に幸せかというと、そうではない。」という答えも返ってきました。
結局、親御様が自分に自信がないために人から認められようとする承認欲求の問題だったんです。
この人から認められようとする承認欲求は一体、どこから生まれたのか?
実はこのお母さんのご両親から、認められたいと思いつつも、満たされないままに育ってしまったことが原因なのです。
だから、このお母さんは自分の親から認められたいがために、必死に無駄な解決策を子供に提案してしまっていたのです。
私の個人カウンセリングの最後にやっとそのおかしさに気づき、「もう提案はしない。」とおっしゃっていたのがとても印象的です。
もしお子さんの不登校の改善が芳しくなく、自分の中に似たような価値観や問題があるかもしれないとお感じの方は、この話をよく聞いてください。
あなたが我が子を自分の思ったように育てたいという欲求がどこかに隠れているとしたら、それは危険なシグナルです。
必ずそれは子供の意に反するので、子供に共感できません。こういった例を私は多数みてきました。
「こんな子になってほしい。」
「あんな子になってほしい。」
「いい大学に行ってほしい。」
こんなふうに子供の将来の幸せを願うのは誰しも同じですが、いい大学へ行けなかったら不幸せでしょうか?
例えば、あなたがハーバード大学を出ていなくて、そのため将来の選択肢が狭まっていたとしたら、それはあなたにとって不幸せでしょうか?
違うと思います。
もし、あなたに食べ物の好き嫌いがあり、それを克服できなかったとしたら、あなたは不幸せでしょうか?
違うと思います。
もしあなたがスーパーマンになれてなかったとして、そのことで「ああ、自分はなんて不幸せなんだ。」と感じるでしょうか?
これも違うと思います。
このように親御様の幸せの定義が間違っていると、子供に共感ができなくなるので、不登校を改善することができません。
実際、このお子さんはスーパーマンになりたいとも、勉強できるようになりたいとも、好き嫌いを克服したいとも、一言も言っていません。
なのに親御様は相手が望んでいないことを汲み取って、それを叶えようとしてしまっていたのです。
これを「思考の先読み」と言います。
「思考の先読み」は絶対にやってはいけません。そして、不登校の改善のために親御様はご自身の中にある幸せの定義をもう一度見直してみてください。
子供がどうなることが幸せなのか?
私は子供が先ほどのお母さんの望みのようなスーパーマンになることが、幸せだとはとても思えないのです。
子供にとっての幸せとは、子供が決めるべきものです。親御様がそこに手出し、口出しをしてはいけません。
この感覚が重要なのですが、もしかして、まだなかなか改善しないなとお感じの方はどこかでこの定義が間違っているかもしれませんね。
同時にそれはあなた自身が幸せでないことを表しているのかもしれません。
あなたはスーパーマンになったり、完璧超人になったり、ハーバード大学を出たり、我慢強く親の言うことを聞き、なんでもできる良い子になることがあなたにとっての幸せでしょうか?
そうならないと不幸せでしょうか?
おそらくよく考えると違うと思います。あなたが違うなら、お子さんも違うでしょう。
私にとってお子さんの幸せとは、自分軸をもって、自分の意志で前に進めること、自分の考えをもって、他者と健全な交流ができること、こういったところが幸せなのではないかと思います。
この考え、皆さんに伝わるでしょうか?
好き嫌いがなく、我慢強く、健康でいい大学を出て、欠点の何一つない人間になる。
こんな間違った夢を子供に期待していませんか?
是非一度、この機会によく考えてみてください。
そして親の期待通りに子供を育てる、この考え方や価値観を今すぐ捨てましょう。そうしない限り、ホンモノ共感をすることはできません。
ホンモノ共感がうまくいって、不登校が改善に導けるかどうかは、親御様の頭の中にある価値観が決め手となります。
この価値観が健全なものでない限り、子供は必ずそれを見抜いて動こうとしません。
子供をスーパーマンに育てようとしていませんか?
あるいはあなた自身が本当に幸せな人生を歩んでいますか?
これらを一度、時間をとって、しっかり見つめ直していただければと思います。
ホンモノ共感クイズ「マスク」
前回のホンモノ共感クイズには5名の方からご回答をいただきました。ありがとうございます。
どの方もお子さんのマスクの着け心地の悪さという五感の訴えによく寄り添っておられます。
実際にはどの方の回答もいいのですが、minoさんの会話例が参考になるでしょう。
子供の感覚を聞いて、共感した後、すぐ子供の訴えに応じて行動なさっています。すばらしいですね。
私も実際に娘に感覚を聞いて、共感した後で、すぐに新しいマスクを買いました。
ただし私の方から解決の提案はしませんでした。娘からどうしてほしいのか言ってくるまでじっくり待ちました。
このように微妙で繊細なお子さんの感覚をよく聞いて、共感していくことがとても大切になっていきます。
わがままだとか、もったいないとか、そういった考えは一切、なしにしてください。
ホンモノ共感クイズ「鰯いらない。」
あなたはお子さんがカルシウムをたくさんとれるように鰯の煮付けを夕食に出しました。
しかしお子さんは「この鰯いらない、食べたくない」と言いました。
あなたは子供が好き嫌いなく、健康に育ってほしいと思っていますが、この場合、どのように対応し、共感すればいいでしょうか?
あなたが考えるホンモノ共感の言葉がけを12/19(月)21:00までにブログにコメントしてください。
来週12/21(水)に私が考えるホンモノ共感の言葉がけをお伝えしますので、この機会を活用して、不登校の改善に役立ててくださいね。