再登校事例

自殺願望と線維筋痛症による不登校 女子高校生UMさん Vol.2

大量のストレスの記憶(1回目カウンセリング)

はるばる遠くからUMちゃんとご両親・妹さんが一家総出でいわきまでお越し下さいました。

 

UMちゃんの顔色は優れません。かわいい顔なのに目の下にクマがあります。
彼女は「学校に行けない。行こうとすると足、お腹、頭が痛くなります」と言います。
実はまだ痛いところだらけでした。

 

挨拶もそこそこに、不登校の経緯を聴きます。

 

痛みが中3の11月に始まり、中間テストの後に文化祭と修学旅行があったので疲れていたのかな、と自分では思っていたけど、それにしては治らないし、鍼も一時的な効果しかありませんでした。

 

それから吐いたり膝から下が痛くなったり、通学途中で気持ち悪くなって帰ってきたり。朝起きたら「行きたくない」と思うようになって、腹痛と頭痛に。

 

ここからストレスを与えた人物を聴き出します。そして驚きのストレス履歴が明らかになります。

 

聴き出した順番に記します。まずは中3から。

 

お母さんの話にも出てきた、中3の担任の女のNG先生。
科目は英語。UMちゃんの学校では中3から高校の勉強が始まり、UMちゃんは朝3時4時起きして頑張っていたのですが、NG先生は「やってる割には成績上がらないよね。本当にやってるの?」。
テストの点が悪い子を呼び出して叱ったり、提出物を出さないと家まで電話をかけてきます。校則にも厳しく、スカートが短いと「直せ」、リボンが曲がっていると「直せ」、ボタンも「ちゃんととめろ」。

 

生物の女のMO先生。
UMちゃんが質問したときに「こんな問題もわからないの?」。他の子が質問するとちゃんと教えてくれます。質問を拒否されたのはおそらくUMちゃんだけ。
しかもワケもわからず何もしていないのに叩いてきます。背中をかなり強く、1-2回叩かれたそうです。叩くのは他の子にも行っていたようです。

 

数学の男のTK先生。
テストの点が悪いとイライラして「90点以上が普通、100点は当たり前だ!」。再試はしないと言ったのに平均点が低いと再試を何度も行ったり。

 

学年主任の国語の女のMS先生。
醸し出すオーラがイヤ。頭のいい子しか自分のクラスに入れず、ある1人の子だけ標的にして立たせたりその子の電子辞書を投げたり。でも周りは見ていることしかできません。

 

校長先生。
毎朝先生に「東大2ケタ目指せ!」とゲキを飛ばしています。元々進学校ではなかったのですが、この先生が偏差値を上げてきました。

 

ここから高校です。

 

生物の男のTR先生。
最初の授業しか受けていないが、この先生のせいで学校へ行けなくなりました。最初の授業で生徒が騒いでいるときに教壇を教科書で叩いて怒鳴り散らしました。しかもシーンとなって誰もしゃべっていないのに「しゃべったヤツは出て行け!」。

 

数学の女のKD先生。
中1中2の時にも数学担当で、UMちゃんいわく「元ヤン、目つきが怖い、ヤバイ」。提出物を一つでも忘れると「なんでなの!」と30分コース開始。2回提出を忘れた子には「ダマしたのね!」。すごく怖いといいます。テスト問題をいつも難しくして、わからないと「なんでわからないの?」。

 

社会の男のTD先生。
板書が何を書いているのかわかりません。塾講師もしているが授業中にその話ばかりします。歩き方がおかしい。

 

国語の女のSG先生。
性格がねちっこく、この先生が傍に立っていることに気づかずにUMちゃんが話をしていると「なんで挨拶しないの?」といい、挨拶するとニコニコ。ところがそれ以降挨拶してもムシです。
スカートが短いと「何年何組何番の誰?」と警察みたいなことを言います。

 

古典の女のHY先生。
怒鳴ったりはしないのですが声が異常にうるさく、隣のクラスまで丸聞こえの頭が痛くなるような大声で授業をします。

 

数学の男のKB先生。
性格が厳しく、KD先生と似ています。バレー部の顧問なのですが、UMちゃんの友達のバレー部の部員が日誌を出すのを忘れたら、昼休み40分間、泣くまでずっと説教。

 

英語の男のMD先生。
以前いた別の学校で女生徒にわいせつ行為をしたらしく、高校で教えてはいけないことになっていたのが、MS先生と結託して高校で教えてもよいことに。
この学校でもターゲットを定めた、というウワサがありアブナイ雰囲気を感じます。お母さんも「保護者会でものすごく近づいて話しかけてくるんです」とイヤそうな顔をなさいました。

 

化学のSZ先生。
生徒に対して「うるせえ」と怒鳴ります。MS先生に歯向かって中学に落とされました。

 

体育の男の先生。
名前は忘れました。ちょっとしたことでもすぐ怒ります。4列縦隊がちょっとズレても怒ります。チームでやることがちょっとでもやり方が違うと「やり直し、話聞いてないだろ!」。UMちゃんも何度も怒られました。

 

先生はここまで。UMちゃんに直接被害を与えていない先生を除いてもすごい数です。この学校は誰でも知っているお嬢様学校なのですが、中身は・・・

 

次はクラブです。
UMちゃんはバドミントン部でしたが、人間関係が悪くやめてしまいました。いじめっ子タイプが集まっており、人の悪口ばかり言い合って、分裂を繰り返していました。
UMちゃんは直接悪口は言われなかったそうですが、おそらく裏で陰口を叩かれていたと思われます。その後UMちゃんは科学部に移りました。
直接の被害は受けていないということで、ここはスルー。

 

次は生徒です。

 

まずはSTさん。
中学の時には、帰国生のATさんと朝仲良く一緒に通っていました。そこに、ATさんの友達のSTさんが加わって中2の1学期から3人で登校するようになりました。
このSTさん、他人の悪口が多く、「この人バカじゃん」などと平気で言います。UMさんは数学が苦手なのですが、中3の時数学のテストをSTさんに見られ、「そんなのもできないの?」と言われました。それから、朝の電車を1本ずらすように。
また同じく中3で漢検の準2級のテストに落ちたのですが、それをSTさんに見られるのを恐れ、不合格通知を見もせずに破り捨てました。周囲は簡単だと言っていただけにかなり悔しかったようです。

 

中1のKSさん。
最初は仲が良かったけど、他の子と仲良くすると「なんで仲良くするの」とストーカーのように。たとえば前の席にKSさん、その後ろにUMちゃんが座っていると1時間に何度も後ろを振り返り、「後ろにお化けがいる」。
UMちゃんのものを盗んだこともありました。中1後半から中2前半にかけてしつこくつきまとわれ、耐え切れずに先生に相談、今は離れています。

 

中2のSHさん。
この子もUMちゃんにどこまでもくっついてくる子です。

 

中3のクラスはアニメオタクが多く、周りのアニメの話に合わせないとついていけず、NG先生もテンションが高く雰囲気が合わなかったといいます。
高校のクラスはAKB48のファンが多く、UMちゃんはそれも知らず話について行くのが難しいところがありました。
まだまだ彼女のストレス履歴は続きます。

 

今のクラスにはMMちゃんという他に友達のいない子がいて、彼女もまた軽いストーカーでした。朝教室に入った途端UMちゃんにくっついてきます。MMちゃんは周りから嫌われ、彼女と一緒にいると他の子は寄ってきません。

 

MRちゃん。
MS先生に歯向かって電子辞書を投げられた子です。MS先生のことが嫌いで対立、ついに「出て行け」と公立高校へ転校させられました。
自己主張が激しく中1からみんなに嫌われていじめられていました。机の上に砂を撒かれて犯人探しを行ったこともあります。
MRちゃんと話していると白い目でみんなから見られ、「こういう眼で人から見られているんだ」というのが理解できた、とUMちゃんは言います。みんなが悪く言うのでUMちゃんは友達になりたかったけどなれませんでした。
悪い人ではなく、優しいところがあって家庭科の宿題を一緒にしてくれたりもしました。UMちゃんには優しく、先生のいうことは聞かないのにUMちゃんのいうことは聞きます。
家庭の事情が複雑で、リストカットしていました。転校のお別れパーティーをUMちゃんとMMちゃんともう一人でしてあげました。

 

RIちゃん。
バドミントン部で中1の時隣の席でした。人の悪口、自分の自慢ばかり。中1の夏合宿が終わった頃UMちゃんを邪魔者扱いし「部をやめなよ」と言い、カチンときたUMちゃんはバドミントン部をやめました。

 

いや~スゴイ。ノート8ページ分になりました。同席のご両親は唖然。

 

ここでUMちゃんは「先生と2人で話したい」といい、家族は席を外してもらうことに。子供が家族に「席を外して」というときは私も緊張度が一段上がります。

 

ついには家族が登場しました。

 

父方の祖母。
北陸に住んでいます。UMちゃんが学校へ行けなくなった時に電話をかけてきて、こう言いました。
「なんで行けないの、お父さんがうつみたいになって電話をかけてきたのよ。うつになってお父さんが会社に行けなくなったらあなたも困るのよ。毎朝ちゃんと行くのよ、遅刻も早退もダメ、毎日確認するから」。
これを聞いてUMちゃんは身体が震えたといいます。実際その後毎日チェックが入ることはありませんが、いつも電話がかかってくるんじゃないかと不安になります。

 

お父さん。
厳しい。ビシバシ
してきます。ダラダラしていると怒られたり、小学校の授業参観の時にも「なんでこうしなかったんだ、他の子は出来ているのになんでだ?」と説教がずっと続きました。
それがすごくイヤなんです、とUMちゃんは言います。
不登校についても「どうして行かないんだ、自分勝手だ!」と怒りました。何でもおばあちゃんに電話したり。ただ、最近は「なんで行けないの」とは言わなくなりました。

 

Nクリニックの先生。
UMちゃんが「死にたい、殺して」と言い出したので今年1月下旬にクリニックへ。UMちゃん自身は最初は「オタクが多いので学校へ行けない」と思っていたのでそう医師に話したら「気のせいだ、行きなさい」と話を聞かずクスリを出しました。
そのクスリ(安定剤)を飲んだら床が斜めに見えました。それでこのクリニックには行かなくなりました。

 

鍼治療の先生。
この先生は「顎関節症と自律神経失調症が原因だ」と言いました。UMちゃんが「オタクが多いからいけない」と言うと、「そんなのはワガママだ」と切って捨てられました。悪い先生ではないのですが無骨な感じだとのこと。

 

スクールカウンセリングには毎週金曜日に行っていて、1週間の報告を楽しくして、これからどうするか、という話をして終えているそうです。

 

ここから記憶の除去にとりかかります。ここも細かく書くと凄まじい分量になりますので端折ります。

 

NG先生から。校則のことで友達をきつく叱っている場面の映像の記憶、「本当にやってんの?成績上がんないわね」と毒突く声の記憶、先生に対する「怖い」という感情、先生の顔の記憶を取り除きました。

 

次にお父さん。ビシバシに対する「怖い」という感情を取り除いて、1回目のカウンセリングは終了。