男子中学生I君の事例、最終レポートです。

登校はできるようになったが、まだまだ問題が…

お母様からレポートをいただいてからずいぶん日にちが経ってしまいましたが、やっと時間がとれるようになりましたので、公開します。

(I君お母様から頂いたレポート。原文そのまま)

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5月18~20日まで京都・奈良への修学旅行が予定されていました。

以前から修学旅行には行きたいと本人が希望していたこともあり、担任の先生もそれに向けて徐々に学校に来ることができるように、本人の希望に沿って無理しすぎないように配慮してくれました。

学年主任はやはり旅行中に体調を崩したりまた以前姉の時も学年主任だったのですが、その時に新幹線に乗ったとたんに帰ると言い出した女子がいて、大変だったと聞いているので)することが心配だったのか、行きたいのだったら1週間続けて来いと、Iに言ったようです。

やはりその言葉が不安だったようで、すごく気にしている様子でしたが、人それぞれ立場があるから、先生の立場ではそういう心配があるのじゃないか?と話しました。

旅行当日はやや緊張していたもののスムーズに準備し出発しました。
旅行中は担任の先生の携帯から本人がメールしてきて元気そうな様子がわかりました。

また、普段食給食はたべられないのですが、旅行中の食事はよく食べて問題なかったようです。クラスの友人たちと楽しくすごして本当に楽しかったといってました。

その後は、ある意味目標を達成してしまった状態。
学校に行く目的が定まらないと言います。
受験に必要、部活で自分が必要だ、ということは十分わかっているけれど、2つのことを同時に進められないとしきりにいいます。

受験希望の高校も全然合格できそうもないところを希望しており、がんばって勉強するよ!と言ってますが、、世間ではみなもっと毎日勉強して合格を勝ち取るような高校なのを理解していないようです。

そのため、それほど勉強している様子はなく、どちらかと言えばゲーム機を持ち歩いている(家の中で)感じです。

「明日は1時間だけいく。そのあとは部活に行けたらいく」くらいのレベルからなかなか進むことが出来ず、部活もやりたくないと言い出し、「自分はわがままなんだ」と言っています。

また、私に色々聞いてくるので、「Iはどうしたいの?」と言うと「ほらきた!またそういう」といって大変不機嫌になります。

人に決められたことも難しく、自分で決めたことも難しく。

相変わらず「学校いきたくねー」と言ってますが、ホントに時々は行ってます。1日いることはまだまだ全然考えられません。

それによってどんな結果になろうとも、辛くてもやはり自分が決めたことなんだと思います。
無理やり何かさせようと思ってもまずしませんし、したとしても決して良い結果にはならないのがわかるので、今は本人の意思決定を支持し見守るしかできないのかと思います。

元気はあって、同級生ともふつうにあいますし、ひきこもってもいません。
ただ、学校が嫌いで行きたくないと言います。

この後どうなるのか、全くわかりませんが今の状況からすると通信やフレックスのような多様なスタイルができる高校の方がいいのかなと思います。

思えば、私自身もママ友とつながるのが極めて苦手で、これまでかたくなに避けていました。

それが、今年くじに当たり続け役員を4つ掛け持ちで行うことになり、嫌でもママ友とつながらなければならなくなりました。
このような状況も何か意味があるのでしょう。

親が苦手を克服する様子を見せることでIも何か感じてくれて、私のIへの対応もよくなるのではないかと思います。

親(祖母)との関係修復は私自身が望んでいないこともあり何も進展していませんが、子供たちにとっては一応祖父祖母なので、会ったりするのは私の関係ないこと。
自由にしてもらっていいと思います。

下の子たちの子育てと全く違った上の子たち。
本当にかわいそうなことをしてきたと、今はすごく胸が痛みます。
でも、私も知らなかったし普通と思っていたこと。
子供たちが身を持って教えてくれた普通じゃないよ、ということ。

これから先もまだまだ修行は続きます。
その中で、いずれは避けて通れない親とのこと。

また新井先生にお世話になるときがくるように思います。
それもそう遠くないように思います。

その時はまたよろしくお願いいたします。

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(新井解説)

お母様にカウンセリングでお会いして状況を伺った時は、I君は大変調子が良く順調であるとのこと。

そのため、カウンセリングはいちど終了して様子を見てください、ということにしました。

しかし、レポートをいただいてみると、そうではなかったということがわかりました。

全体的に見て、対人恐怖的な兆候はありませんが、

I君はおそらくまだ自己信頼が低いのだろうと思います。

I君の状態は、自己信頼が低いためになかなか動けない、動くことが必要だとわかっていてもなかなか手が付けられない、そういったお子さんの典型であろうと思います。

「必要なのはわかっているのに進められない」

「目標が定まらない」

「人に決められたことも難しく、自分で決めたことも実行が難しい」

「学校には少しいけるが、その時間がなかなか増えない」

「2つのことに同時に手をつける余裕がない」

こういったI君に残った問題は、自己信頼を高めてあげることで解決できる可能性が高くあります。

またいつの日か、お母様から連絡が来るかもしれません。