不登校のお子さんの中には親御様、特にお母さんに対して、依存的な傾向の強いお子さんがいらっしゃいます。

この依存に対して多くの親御様はこんなふうに不安ではないでしょうか?

「この子、こんなに親に依存して、自立できるのかしら?」

 

先日もある不登校の個人カウンセリングでこんなご相談を受けました。

「学校の方はだいぶ落ち着いてきたものの、母親の私に依存的なところが気になります。何かと私の顔色を見るし、私の意見に合わせようとします。

子供は少し遠い大学への進学を希望しているものの、もし受かっても一人暮らしはせず、「家から通う。」と言っていて、一人暮らしは精神的に難しいみたいです。

兄弟間でも母親の取り合いのように話しかけてくることもあり、このままで大丈夫なのだろうかと気になります。」

こんなふうに不安に思われるお母さんのお気持ちはよくわかります。

こういった場合、お子さんの自立について、とても心配ですよね。

学校はなんとかなっても、親元から離れられないのでは片手落ちとも言えるかもしれません。

なぜ、お子さんは母親に依存してしまうのか?

なぜ、お子さんは母親に依存して、母親にべったりになってしまうのか?

実はこの原因は親子の愛着関係と深く関わっています。親子の愛着関係を正しくつくること、これが子供の自立の重要なポイントです。

愛着関係とは「安心、暖かさ、ぬくもり、安らぎ。」こういったものを親子関係から子供が実感できることを言います。

これらが欠けると、子供は親子関係から安心を得ることができません。

この安心が欠けた関係を子供は社会や他人にも反映してしまい、社会へ1人で出ることが不安になってしまうのです。

 

この愛着関係をつくる上で、とても大事なことは「暖かさ」なんです。

実際、子供の何かの言葉、特にマイナスやネガティブな発言に対して、冷たい反応をしたり、共感しなかったりすると、子供は安心を得られず、より依存の度合いが増してしまいます。

私が個人カウンセリングをさせていただいたある不登校の女の子はこう言っていました。

 

「私がネガティブ発言をすると、お母さんから冷たく返されることがある。そのたびに『ああ、自分の発言が変で間違っていたのかな。』と悩んでしまう。

だから常に自分が人からどう思われるか気になる。それに親がいないところでは多分生きていけないと思う。

もっと私のネガティブな部分に歩みよってほしい。私そのものを見てほしい。親は背中で語らず、子供の目を見て話してほしい。

私がネガティブな発言をしたときは暖かく心を込めた共感をしてほしい。それがないといつまで経っても、お母さんへの依存から抜け出せない。

こんなことを不登校の女の子は言っていました。

 

おそらくこの親御様は冷たさに対して自覚がないと思われます。

ご自身は話を聞いているし、ちゃんと返事をしていると思っているでしょう。

しかしお子さんから話を聞くと、子供がネガティブ発言をした時のお母さんの反応が「ふーん。」や「あっそう。」だけで終わっていたり、冷たい目でじっと見返されたり、それがお子さんにとって、不安になっているということでした。

実は多くの親御様は子供のネガティブ発言に共感することがうまくありません。

自分の考えと反するものに共感するということがなかなか受け入れられないという方もいらっしゃいます。

だからあっさりとした反応で深く聞くのを避けたり、無意識に冷たい反応を返してしまっているのです。

 

もし、あなたが子供のネガティブ発言を共感で受け入れるということが苦しいと感じるなら、ちょっと立ち止まって、こんなふうに自分の心を深掘りしてみてください。

なぜ自分は受け入れられないんだろう?もし受け入れたら、どんなふうに自分が不安になるんだろう?

これを何度も考えて深掘りするうちに徐々に徐々に自分の思い込みがゆるんでくるはずです。

せっかくお子さんを愛して大事に思い、時間をとり、話をきいているのにこのマイナスやネガティブの反応でつまづく、それはもったいないですよね。

 

実際に私は録音添削をしていると「ああ、もったいないなあ。」と思う事例を私はいくつも見てきました。

せっかくお子さんの話をじっくり時間をとってきいているのに反応が薄かったり、心がこもってなかったり、さっさと片付けられたり、そんなこと思い当たりませんか?

お子さんの自立がうまくいっていないと思われる方にこれらの問題が多くみられます。みなさん共感をがんばっているのに実に惜しいです。

 

あと一歩、子供のマイナスやネガティブな発言に暖かく心を込めた共感ができれば、お子さんの自立と依存の問題は必ず解決します。

自覚がないという親御様こそ、是非一度、お子さんと一緒にご自身の反応をチェックしてみてください。

1つ1つご自身の反応を改善していけば、お子さんがお母さんに依存する理由がなくなりますので、自立傾向が必ず強まっていきます。

 

ホンモノ共感クイズ「忘れ物」

前回のホンモノ共感クイズには7名の方からご回答をいただきました。ありがとうございます。

みなさんの回答はあと一歩、惜しかったです。

解決の提案は原理原則、親の方からしてはいけないのです。

「自分がしでかしたミスにとても動揺している。」この動揺にただひたすら共感し、子供が自ら解決を考えるまで親はひたすら待つのです。

 

動揺への共感がまだみなさん薄い感じがします。

子供が動揺するときは、子供にとって世界が崩壊するぐらいの不安があります。

みなさん、子供の動揺への共感をあっさり片づけて、さっさと解決の方向へいくみたいなことをしていませんか。

それをやると子供の動揺の度合いがさらにひどくなります。

解決は子供から言い出すまで待つのです。

 

ミスで動揺している子に対して、こんなふうにひたすら共感して、解決の提案は親からはしないでください。

「ああ、やっちゃったね。失敗したらすごく動揺しちゃうもんね。いろんなことが不安になるんだよね。辛いよね。」

この共感が親御様に身に染みて、腹に落ちると子供の失敗不安そのものが緩まっていきます。

共感が薄く、解決の提案をすぐしてしまう方は今一度、子供への対応を改めてください。

 

ホンモノ共感クイズ「悪夢」

不登校のお子さんは最近は調子がいいものの、ある日、ぐったりしながら朝起きてきました。

お子さんは「悪夢をみた。学校で勉強している夢をみた。吐きそうだった。」と言って、ずっと暗く落ち込んでいます。

このお子さんのマイナスの状態にあなたならどのように寄り添い、どんなホンモノ共感の言葉をかけますか?

 

あなたが考えるホンモノ共感の言葉がけを5/29(月)18:00までにブログにコメントしてください。

来週5/31(水)に私が考えるホンモノ共感の言葉がけをお伝えしますので、この機会を活用して、不登校の改善に役立ててくださいね。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。