こんにちは不登校セラピーと子供自信協会の新井てるかずです。
前回、不登校の子の「見下され不安」についてお話をしました。
この「見下され不安」を生み出すのが、実は親御様の共感欠如や解決策の提案、アドバイス、話のすり替え、プラス転換などです。
なぜ、親御様はこういったことを無意識にやってしまうのか?
実は不登校の親御様の共通した問題点として、ポジティブ思考があるからです。
このポジティブ思考は悪い意味でのポジティブです。
なぜならば子供のマイナス、停滞、ネガティブなどとじっくり向き合い、留まることがどうしてもできないからです。
不登校の親御様は子供のマイナス、停滞、ネガティブをすぐにプラスの方向やポジティブな方向にもっていこうとしてしまいます。
ほとんどの方は無自覚にやっているので、よくないことだと気づかない方がほとんどです。
例えば、お子さんが学校へいけない、停滞しているなどの状態の場合で、その直接的な原因が学校でのいじめや人間関係のトラブルにあったとします。
ポジティブ思考の親御様はそのトラブルによるトラウマをなんとか取り除いてあげたくて、前に進めてあげたくて、話をしてなんとか気づきを与えようとします。
トラウマ治療のようなものを試された方もいらっしゃるかもしれません。
実際に不登校や停滞しているお子さんで、学校のいじめのトラウマを抱えていることはとても多いです。
だから、いじめが原因となっていると知ると、親御様はなんとかそれを解決してあげたくなるものですよね。
実際、トラウマを抱えてネガティブな状態になっているお子さんに対して、親御様は、こんな言葉をかけてしまっています。
「大丈夫だよ。もうそんな人たちはいないんだよ。
あれは相手が悪いんだよ。あなたは何も悪くないんだよ。
だからこのトラウマを乗り越えようよ。立ち止まらずに前に進もうよ。」
この親御様の考えこそがポジティブ思考です。
親御様の意図に何一つ、よこしまなもの、悪いものはないことはわかっています。しかしこれは実はNGの言葉がけなのです。
なぜかというと、この親御様のポジティブ思考を子供は他人や社会に反映させてしまうからです。
「社会や世の中の人たちはポジティブに物事を解決して、前に進むことを求めている。
社会ではポジティブな考え方、ポジティブで前向きに物事を乗り越えて行くことが当たり前。
しかし自分は問題を抱えていてそれを軽く乗り越えることができない。
だから、それができない自分はできる人たちから、馬鹿にされ、見下されてしまう。それを避けたいので学校に行かない。行けない。」
こんなメカニズムで不登校になってしまうのです。
親御様が「問題解決してあげよう。前に進めてあげよう。」と子供に願う。
つまりネガティブを排除しようという考え方を子供は社会に反映してしまうのです。
「社会はポジティブ至上主義だ。それに合わせられないネガティブな自分は人から見下される。」
こんなふうに自分を「ダメ人間だ。」と認識して、自己肯定感を落とし、不登校になってしまいます。
このメカニズムをよーく理解してください。
これを深く理解して腹に落とし、前に進めたり、ポジティブな考え方を子供に植え付けようとすることをやめない限り、なぜかわからないけど子供が動けない、学校へ行けないという状態に陥ります。
これは前回の「見下され不安」についてのブログ・メルマガをもう一度、読んでいただくと、より深く理解できると思います。
共感とは子供のマイナスの状態、停滞やネガティブの状態に留まり続けることです。
「前に進めてあげたい。トラウマを解決して、克服させたい。気づきを与えたい。」
これを親御様が願っている限り、実は子供は前に進めないという皮肉な結果になってしまっています。
子供が動かない原因がよくわからなかったり、深い対話をしようとすると子供から避けられたりする状態であるならば、まずは親御様のポジティブ思考を疑ってください。
特に不登校の改善が停滞している方は要注意して、ご自身のポジティブ思考がないかみてみてください。
このポジティブ思考はとてもわかりにくくて、複雑で親御様自身もほとんど気づかないことが多いものです。
しかし個人カウンセリングなどで、私がこのポジティブ思考に気づき、私が親御様に「こういうポジティブな考え方をしていませんか?」と聞くと、ほとんどの方がそういえばとしてしまっていたと気づきます。
これは大事なことなので何度も繰り返します。
原因がよくわからない停滞、あるいは原因がある程度はっきりしているけれど、いつまで経っても乗り越えられない停滞、ネガティブをずっと吐き出し続ける、あるいは逆に親子の間でも自分のネガティブなところを隠そうとするなどがあるならば、親御様のポジティブ思考を徹底的に疑ってみるべきです。
つまり親御様が子供の停滞を本当の意味で打破してあげたいと思うならば、子供に気づきを与えようとか、「大丈夫だよ。」「こうすれば解決できるよ。」「前に進もうよ。」などのポジティブ思考の考え方や言葉がけをしていないかをじっくりと見直してください。
そして今一度、子供のマイナス、停滞、ネガティブな状態に共感することで留まり続けていられるかに振り返ってみてください。
親御様が子供のマイナスに留まり続けることができれば、それを子供は他人や社会にも反映します。
「社会はそんなにポジティブ至上主義じゃない。ネガティブな人もいっぱいいる。
ネガティブだからといって見下されたり、馬鹿にされたりすることはない。」
こんなふうに子供の感じ方が変わってきます。
そうすると不思議とよく原因がわからない停滞やトラウマに引っかかったとしても、自然と動きだせるようになってきます。
今日の内容は何度も何度も見返して、深く心に刻んでいただきたいと思います。
親御様がご自身のポジティブ思考に気づいて変えない限り、外部の力で子供をかえるということはできません。
子供の停滞を真に打破できるのは、ポジティブ至上主義を親御様が手放すことだけです。
ホンモノ共感クイズ「ママ仕事休んで家にいて!」
先週のホンモノ共感クイズには、2名から回答いただきました。ありがとうございました。
2人とも子供の気持ちを最大限に汲んで共感なさろうとしているのがよくわかります。
おそらく娘さんは1人でいることが孤独であったり、不安であったり、あるいは退屈を感じすぎたり、空虚感のようなものを感じているのかもしれません。
子供にそれに耐えろというのはなかなか酷なことですよね。
ひっとんさん
「ママが家にいたらどんなことをしたいのかな?」というのはとても良い質問だと思います。
そしてママがどうしても仕事に行かなくてはいけない理由をやわらかく伝えている点もいいと思います。
さくらもちさん
お母さんも休んで一緒にいたいとハグをなさるということですね。
まずこのように答えているのはとても良いことだと思います。
最後のところは提案になってしまっていますが、可能な限り子供と一緒にいたいという気持ちを満たすような言葉がけをされているのもいいですよね。
一緒にお風呂に入ることや添い寝がもうできない年頃ということですので、それに変わる親密なスキンシップとか、温もりを感じさせるような親子のコミュニケーションを存分に取られるといいと思います。
大事なことはまずは共感、共感、共感です。
親の事情を言いたくなる気持ちはもちろんわかりますが、徹底的な共感によって、子供のネガティブな発言に寄り添うこと自体が目的です。
解決することが目的ではないということを心に刻んでください。
ホンモノ共感クイズ「もう遅い」
あなたのお子さんは3年にわたって不登校です。
学校へいく意思がまったくないわけではないのですが、3年間のブランクは大きく、周りとの差を色々な面で感じ、劣等感を覚えています。
先日もそのことについて子供と話したとき、子供から「もう遅い、何もかもだめだ。」という発言がありました。
この言葉に対してあなたならどのようにホンモノ共感しますか?
あなたが考えるホンモノ共感の言葉がけを6/12(月)18:00までにブログにコメントしてください。
来週6/14(水)に私が考えるホンモノ共感の言葉がけをお伝えしますので、この機会を活用して、不登校の改善に役立ててくださいね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。