私は、多くの親御様から、「ゲームとスマホをやらせ続けていて、いいんでしょうか?」というご相談を受けます。
子供がゲームやスマホを夜中の3−4時までやっているので、朝起きれない。
朝起きれないので、学校に行けない。
だから、ゲームやスマホをなんとか止めさせたい。
子供が残虐なゲームをやっている。
戦争ゲームで人を殺したり、ゾンビを殺したり、殺伐とした内容のゲームばかりやっている。
子供がずっとyoutubeを見ている。
特にユーチューバーのくだらない動画を見ている。
何がいいのか、全く理解できない。
あんなくだらないものを子供に見せないでほしい。
これら以外にも、ゲームやスマホに関するご相談・質問は、本当に尽きることがありません。
不登校のお子さんの親にとっては、最も関心の高いものごとの1つといえます。
なぜ、ゲームやスマホが最も関心の高いものごとなのか?
関心が高い理由は2点あります。
1つ目は、ゲームやスマホをやっているため、子供が夜眠っていないからです。
夜眠らないから、朝起きれない。
朝起きれないから、学校へ行けない。
だから学校へ行かせるためにも、生活のリズムを整えさせるためにも、ゲームやスマホをなんとか制限、あるいは止めさせたい。
こんなふうに思っているんです。
そしてもう1点は、子供が社会の役立たずになることを怖れているからです。
ゲームやスマホによって、朝起きれない。
朝起きれないと学校へ行けない。
学校へ行けないと、大学へ行けない。
大学へ行けないと、いい就職ができない。
いい就職できないと、まともに働けない。
まともに働けないと、お金を稼ぐことができない。
お金を稼がないと自立できない。
自立できないと、社会の役立たず、生活保護を受けることになる。
息子さん、娘さんがこうなるのが怖い、嫌なので、なんとかゲームやスマホを止めさせたいと思っているのです。
ゲームやスマホを一切禁止すると本当に不登校は解決するのか?
有名な不登校の解決方法に、子供をほめて、電子機器は全面禁止、ゲームやスマホは一切禁止という方法があります。
これに影響を受けた方も、相当多いかと思います。
これは実際この方法に取り組んだ方のお話しによると
「とにかく学校へ行かせることが全て。電子機器は依存脳になるから一切禁止(登校のジャマになるモノは全て排除)」
「電子機器への依存を断ち切り、ほめて学校へ行かせよ」
という考え方のようですね。
一般には、
「ゲームやスマホをやっているから、学校へ行けない。
であれば、ゲームやスマホを取り上げれば、学校へ行く」
という発想があるんです。
しかしこれは、発想が根本から間違っています。
この間違いを詳しく理論で説明するより、私はこのように親御様に言うことが多いです。
「わかりました。
ではどうぞ、お子さんからゲームやスマホを取り上げてみてください。
それで学校に行くのであれば、存分にされるとよろしいかと思います。」
そして多くのご家庭では、ゲームやスマホに関しては、取り上げるか、制限を試みて、大失敗をしています。
・子供が荒れる、暴れる、ものを破壊する。
・子供が家族に危害を加える。
・子供が家や家財道具を一部破壊する。
・子供が自殺をほのめかす。
このような反応を子供に引き起こす方法が、とてもいいとは私には思えません。
ゲームは、麻薬や覚醒剤ではないのです。
子供からものを奪うことで、子供を幸せにすることなど、できません。
そして、ゲームやスマホを取り上げたら、学校へ行くのかというと、私の経験上、行きません。
夜寝るようになって、朝起きるようになるかというと、そうはなりません。
本当の原因を解決していないのです。
ゲームやスマホといった表面的な問題を変えても、お子さんが学校へ行かないという問題は、何の変化も見せません。
ゲームやスマホを取り上げようが、自己肯定感が上がるわけがありません。
そして、もっと致命的なのが、
「ゲームやスマホが、子供を“社会の役たたず、自立できないダメ人間”にする」
という考え方です。
この考え方は、まるで差別思想にも似た、非常に強い優劣感です。
この非常に強い優劣感を不登校の親御様は強く持っているので、劣の世界に属するものごとに対して、全く理解と共感をしようとしません。
不登校のお子さんが、その劣の世界に関わろうとすると、途端に共感できなくなるのです。
なおすべきは、ゲームやスマホなのではなく、親御様のその考え方自体なのです。
誰から何を言われようが、私は口を酸っぱくして、このことをいい続けています。
ゲームやスマホをなくすのではなく、親の歪んだ優劣感をなくしなさい。
子供の行動を変えるのではなく、親の間違った考え方を変えなさい。
この言葉は、届かない人には全く届きません。
不登校の問題は、子供の甘えの問題だと考える方には全く届きません。
だから、その間違った常識を変えていくためにも、この発言をずっと言い続けています。
ゲームやスマホを取り上げれば、学校へ行くどころか、より深刻な事態を招くというケースを私は数多く見てきました。
それはなぜなのか?
親が、子供がゲームやスマホに依存せざるを得ない心理に全く理解を示さず、その考えに、共感もせず、何も合わせようとしないからです。
その親の価値観を子供は、社会に対して反映します。
だから、社会、つまり学校から遠ざかるのです。
ゲームやスマホ依存になる人の心理を、あなたはわかっていますか?
楽な方に流れたがるとか、面倒くさがりやだからなどの解釈で止まっている限り、解決はしません。
私はゲームやスマホに関しては、「完全に受け入れてください。」というふうにお伝えしていてます。
一切、制限をかけないでいただきたいのです。
何か表面的な行動を変えたり、制限したりする発想を、親御様が一切、やめていただきたいのです。
また「ゲームやスマホやyoutubeなどは下らない、何の生産性もない」というとても歪んだ考え方を改めていただきたいのです。
私は表面的ではなく、本質的に大事な話を皆さんにしています。
この部分がきちんと受け入れることができるようになれば、不登校の解決はぐっと近づいてきます。
ホンモノ共感とプラス言葉クイズ「ママが悪い」
先週のクイズに3名の方が回答してくれました。
どのかたも設定が、生々しさを感じられるものでした。
Hardyさんの設定と共感の言葉は、よくわかっているなあと感じられるものですね。
自分の原因にも目を向けている感じがします。
ケイトさんの設定は、これは私が実際に、カウンセリングでこのような内容のことをよく聞くことがあります。
子供の希望とは、違うものを親が勝手に解釈して、買ってきたり、行動したりする。
これは不登校のご家庭では結構な頻度で起きていると思います。
子供の意思を優先するのではなく、自分の考えが優先になってしまうことは、親御様はよく分かりますよね。
ケイトさんの自分への共感の言葉は、そこを理解し、変えていこうという意図が感じられ、好ましいものですね。
ねねこさんの設定も、実はよく相談でお聞きします。
子供がやろうとすること、言動、好みなどに対して、親が否定や皮肉、いやみ、棘のある言葉を発するのです。
それに対して、子供がブチ切れ、親は「私はそんなつもりで言ったんじゃない。」と逃げに入る。こんな話はざらに聞きます。
それに対する、ねねこさんの共感の言葉ですが、共感というテイストがもっと明確になると良いですね。
自分自身に対する共感を構成するもの
自分自身に対する共感というのは、次の構造から成り立ちます。
1. 事実を冷静に深く認識する。
2. 自分の言動を正しく認識する。
3. 自分の言動によって引き起こされた事態、特にマイナスの事態を冷静に認識する。
4. そのマイナスの事態を引き起こした自分の裏の意図、本当の意図をよく考える。
5. その意図にホンモノ共感をする。
6. プラス言葉で自分の気の持ちようやあり方について締めくくる。
こういった構造が必要になります。
ねねこさんのアニオタアイドルの話の共感の方は、共感というよりは、ご主人や娘に対する反論になっているのかな?
別バージョンの方もそうです。
反論、つまり私が本当に悪いのか?間違っているのか?そうは思いたくない。
こんなお気持ちの現れという風に私には見えました。
イライラしたことと、そのイライラの本当の自分の内面の原因について考察して、共感できるといいんです。
そこがなくて、いきなりプラスのことを言い始めても、おそらくなかなか、落ち込んだ自分の回復に至らないのではないかと思います。
この自分自身に対する共感の言葉を考えられるようになると、自己肯定感を上げやすいので、この力はみなさん、ぜひ鍛えてください。
ホンモノ共感とプラス言葉クイズ
あなたが不登校の子のお母さんだとして、よくお子さんから「あれ取ってきて」「これやって」などと頼まれることが多いとします。
その時、あなたは「そんなこと自分でやりなさい」と突き放すか、突き放しはしないけれども、内心、イライラしながら動いているとします。
そして、これは実話ですが、私は子供から何かを頼まれた際、基本的に物理的に無理な場合を除き、断らずに嫌な顔をせずに動くことにしています。
「自分でやれ!」は、よくない接し方であると私は考えています。
ここでみなさんに質問です。
「自分でやれ!」もしくは、やりはするけど内心イライラしながらするのがなぜよくなくて、なぜ私のように動くのがいいのでしょうか?
その理由を考えてください。
もちろんその本当の答えはホンモノ共感と大きな関係があります。
頑張って考えてみて、ブログにコメントください。
ご回答締切は、3月24日(日)23:59までです。
次回、3/27(水)にブログにコメントいただいたものに、私のホンモノ共感の考え方をお伝えします。
ぜひこの機会を活用して、みなさん、ホンモノ共感を身につけていってください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。