ゲームでキレる原因を探る

子供がゲームでキレてしまうのは、自分の思うように行かないことが主な原因です。
強い敵を倒してクリアできるはずだったのに負けてしまう、倒したとして良いアイテムが入手できるはずだったのに思っていたよりも弱いアイテムしか入手できなかったなどがあります。
ほとんどのゲームは長くプレイしてもらいたい目的から、一定の難易度を設けてやり直しをさせるというゲームバランスになっていることがほとんどです。
業界用語には「悔しがらせて課金させる」という言葉もあるように、ソーシャルゲームにあるようなお金を支払って強力なアイテムを購入させるタイトルでは、それを購入しなければクリアするのが難しい構成になっており課金を煽ることもあるほどです。
そのような心理をくすぐるストーリー展開も用意されており、負けてしまえばその先へ進めないのはもちろんのこと、世界を救うことができず悪のボスキャラクターが我が物顔で闊歩する様子が映し出されてプレイヤーを挑発します。

これを見ればさらに悔しさが増長され、ゲームでキレるという現象が起こります。
ゲームのストーリーはもちろんフィクションですが、ひとつだけ違うのは物語の主人公もプレイヤーも意味合いは微妙に違うとは言え悔しい思いをするという点です。
あくまでもゲームとして割り切り悔しさも含めて楽しめるならば問題ありませんが、これがキレてしまうほどのリアルな悔しさになるのであれば、そのまま放置するわけにはいきません。
一度この状態に陥れば厳しいものがありますが、まだまだ十分リカバリーすることが可能なため子供に寄り添って共に考え問題を解決したいところです。

なぜゲームでキレるのかを自覚させる

病気を治すためにはその原因を突き止め適切な治療を行うことが必要ですが、本人が薬の服用やリハビリを拒否したのであればいつまで経っても直すことは不可能です。
そのため、なぜゲームでキレるのかを本人が自覚し、それを治すために努力をする気持ちを持たなければなりません。
最初は説明をしても、なぜキレるのがいけないのかと応じないかもしれませんが、それは平常心が大きく損なわれている状態だと根気良く分かってもらう必要があります。
ゲームのことで頭が一杯だった場合には聞く耳を持たないことがほとんどですが、タイミングを見計らって話します。
例えばゲームで失敗をした時にはキレる状態にありますが、たまにゲームを上手くクリアできた時には気分良く話ができる時があるはずです。
これを見逃さずにできるだけ優しく話し、ゲームでキレる現象が見られること、心を穏やかにしてそこまでキレるのは控えて欲しい旨を伝えます。

ここでポイントとなるのが、そんなことをしてはいけないとか、止めてほしいと言った否定的な言葉は使うと反発してしまう可能性があるため、抑えて欲しい、控えて欲しいと言った柔らかな表現をするように心がけます。
ゲームで負けて自身が否定された気分になっているところに否定形の言葉を使われると、ネガティブな要素が溜まり続けてしまうため、柔らかな表現でクッションを置き素直に聞いてもらえる状況を作り出します。
この時点で素直に聞いてもらいゲームでキレる現象がおさまるのが理想的ですが、実際にはそこまで上手く行かないケースも少なくありません。
そんな時は、さまざまな知恵と優しさで心の中に入り込む必要があります。

心を刺激して止めてもらう方法

ゲームでキレるということはさまざまな刺激によって感情が動く傾向にあることを表しており、ちょっとした一言で心を動かすことが可能です。
日頃から嬉しいことがあったらものすごく喜んだり、悲しい映画やドラマを見たら涙を流すこともあるのなら、心の刺激に反応しやすい子供だと考えて間違いありません。
ゲームでキレる時に大声を出したりコントローラーを投げつけて激突する音がするのなら、その音がもしかしたら隣の家の住人や通行人にも聞こえているかもしれないと心を刺激します。
ゲームでキレる子供はゲームの中で失敗することが許されないほど自尊心を持っていることから、恥ずかしいことは一切したくないと思っています。
そのため、キレた時に発した声や出してしまった物音が周囲の人々に聞かれてしまい、さらにあの家の子供はゲームでキレるような子だと思われてしまう状況には耐えられず、すぐにはキレるのを止めるのは難しかったとしても大声を上げたり物音を出すことは控えようとします。

ここまで来れば第一段階は成功で、あとは徐々にキレる頻度が少なくしながら最終的には完全に止めてもらうことを目指します。
もうひとつは褒めるという方法で、ゲームで負けてもキレなかった時によく頑張ったと褒めてあげたり、キレないのがかっこいい、キレないあなたが好きなどと言って心を刺激します。
始めはあまり反応しなくても人間は誰でも褒めてもらえるのは嬉しいことで、全くリアクションをしなかったとしても心のどこかで嬉しい気持ちになっています。
根気良く続けることでキレないことで褒められるという報酬が得られることを脳で覚えて定着していけば、ゲームでキレるのを止めてもらうことが可能です。

負けることを恐れないようにさせる

ゲームでキレるのは負けてしまい思うように進まなかった時で、クリアすることに執着していれば悔しさを抑えることはできません。
この原因となっているのが、負けることに慣れていないためにリカバリーの方法が分からないところにあります。

大人であっても怒りを静めた時にどのように抑えられたのかを理論的に言語化することは難しく、それが子供となればより困難を極めます。
そんな子供がキレるのを抑えるためには、良い意味で負けることを恐れずにリカバリーできることを教えることです。
例えばジャンケンでも良いので、もしも子供が負けてしまったら勝てるまで何度もジャンケンをします。
また、親が負けてしまったら今度は勝てるまで何度もチャレンジする姿を見せます。
そして、できれば最後に子供が勝った状態で終り、負けても楽しかったと告げて終わります。

ゲームで負けてキレてしまう子供からは、なぜ負けても楽しかったのか不思議に思うことがありますが、ここで負けてもまた明日にでもジャンケンをチャレンジできる、次は勝てるかもしれないという負けても何度でもリカバリーできることを教えます。
もうひとつはゲーム以外に関心を持たせることで、そのひとつの例がチームスポーツをやらせるということです。

チームスポーツであれば仮に負けたとしてもチーム全員の責任となることから、負けた際の矛先を自分1人に向けることは無く悔しさを分かち合うだけではなく、負けたとしてもチームに貢献できた点があれば負けた中にも光る点を見つけることができます。
もちろん勝つことができればそれに越したことは無く、ゲーム以外に勝利して楽しめることに夢中になることもあります。
これらの小さな成功体験の積み重ねにより、ゲーム1回の失敗でそこまでキレる必要は無く他の分野でいくらでもリカバリーしたり楽しいことが待っていることを教えてあげたいものです。

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ゲームでキレると心配になりゲーム機を取り上げてしまいたいところですが、お友達との間を繋ぐためのコミュニケーションツールとなっていたり、クラスでの共通の話題であるケースが多いことを考えると単純に取り上げるのも難しい場合があります。
そんな時でも、心と心を通わせて愛情と優しさで包み込むように話せば理解してもらい、おのずとゲームでキレることが減少していきます。
はじめはすぐに効果が現れずに不安に駆られてしまうこともありますが、ほんの少しの羞恥心を感じたり、褒められる喜びが積み重なれば理解をしてもらい、やがてゲームでキレることが恥ずかしかったり無駄なエネルギーを使っていたと振り返ることもあります。
いずれにしても根気良くじっくり続けることが大切で、その愛情は必ず子供に届きます。