ゲーム全てが悪いわけではありません

テレビゲームや携帯ゲームの種類は豊富で、レースやスポーツを題材にしたものもあれば冒険を通してキャラクターの成長や強敵に勝つ快感が得られるようになっている、ロールプレイングゲームなども存在しています。
その中で暴力的なゲームに該当するとされているのが、対戦形式の格闘ゲームや銃で相手のキャラクターを撃つようなシューティングゲームなどです。
ホラーゲームは暴力的なゲームに該当するかが微妙であり、余程残酷な描写でもない限りただ怖いだけで暴力性が認められない場合もあります。
意外なくらいに暴力的なゲームの定義はあやふやになっているということを、普段ゲームをしないような方は記憶しておいたほうがいいでしょう。
一定の基準としてはR指定があるタイトルには、暴力的な描写が多いといった傾向があります。

そんな暴力的なゲームを定期的にプレイした子供は、精神や思想に悪い影響が生じやすいので保護者はプレイに制限をかけるべきである。
このような主張をしている海外の研究者がいるもの事実ではありますが、そもそもゲームそのものが子供に対して絶対に悪影響を与えるわけではありません。
脳のトレーニングになるようなゲームもあれば、友達とのコミュニケーションに最適な協力プレイ方のゲームも沢山存在しているからです。

つまりテレビゲームや携帯ゲームなどを全て一括りにして、全面的に禁止にするような教育は間違いだと言えるでしょう。
大人と同じように子供にだって生き抜きは必ず必要ですし、学校や習い事教室などで出来た友達と流行しているソフトの話に交じれないというのは疎外感を感じてしまう要因になりかねませんので、ゲーム自体が悪だと断定するのは間違いだと言えるのです。

本当に悪い影響があるのか?

では暴力的なゲームをプレイした子供に大きな悪影響があるのかというと、一概に悪影響が出やすいとは断言できません。
本当に暴力的なゲームのせいで他者に対して攻撃的になる、暴力行為を繰り返すようになるなどといった悪影響が出るようなら、格闘ゲームやシューティングゲームの全盛期だった1990年代や2000年代初頭には、子供の暴力事件の件数が増加していないと説明が付かないからです。
実際には若者の犯罪率は昭和よりも平成のほうが減少傾向にあることから、暴力的なゲームをプレイしたからといって即座に生活に悪影響が出る確率は低いとイメージしておいて構わないのです。
格闘ゲームや格闘アニメに影響を受ける子供など、極一部であると言えるでしょう。

もしも悪影響が出たら

犯罪率の減少傾向という目に見える数字から考えると、暴力的なゲームが子供に直接的に悪影響を与える可能性は低いと言えます。
しかし仮に暴力的なゲームをプレイするようになってから言動や生活態度が変わってしまった、他者を尊重するような姿勢が薄れたなどの悪影響が実際に生じてしまったときには、保護者としてある程度の対応が必要だとされております。
放置してずっと同じタイトルをプレイさせ続けるのは、飽きる可能性も十分にあるとはいえあまり上策だと言えないからです。

最も簡単な対処法としては、新しいゲームを買い与えることだとされています。
狂信的に同じタイトルを延々とプレイするような子供もいますが、新しいパッケージタイトルを親が買ってきたら一時的にでもそちらに移行するという子供のほうが圧倒的に多いからです。
以前よりも平和的なゲームの世界に触れさせるだけでも、頭の中を落ち着かせる効果が得られやすいので、すぐにでも出来る対処法だと認識しておいてください。

仮に新しいタイトルを与えても興味を示さずに、R指定がある暴力性が高いゲームを子供が止めようとしないという場合には、別の趣味に興味を示すように誘導するというのも効果的です。
例えばガンシューティングにのめり込んでいるようなら、サバイバルゲームで実際にモデルガンを撃ってみないかと誘ってみるという流れが好ましくなっています。
サバイバルゲームは一人では行えないので、自然と他者と接していく内に暴力的な考えだけでは良くないと思考を改める可能性が高いからです。
暴力的なゲームを無理やり取り上げたり、カウンセリングを受けさせるのは最後の手段だとイメージしておいたほうがいいでしょう。

子供の趣味を認めることが大切です

暴力的なゲームは子供に対して高確率で悪影響である、将来暴力的な子供に育ってしまうなどといった具体的なデータが無い憶測を声高に叫んでいる人物には、かなりのバイアスがかかっている場合が大半なので一方的な意見を事実として受け取るのは、子育てをしている保護者にとっては危険です。
親の目線からしたら暴力的に感じてしまうようなゲームでも、子供が友達と一緒に楽しみながらプレイしているようなら、格闘ゲームやシューティングゲームであっても単純な娯楽のひとつであることには変わりがないからです。

自身が家族や友人から大切に考えている趣味を否定されたら傷付くのと同じように、子供も楽しんで遊んでいるゲームを暴力的だからという理由で排除されてしまっては、人格が形成されていない段階でも納得ができない可能性が極めて高くなっています。
まだ子供だから、将来のためになどの言い訳を心の中でせずに、フィクションと現実の区別くらい子供でも付くと信じて、多少暴力的な描写があるゲームでも自由にプレイさせるというのがとても大切なことだと言えるのです。
親の都合で楽しいことや好きなこと、友達とのコミュニケーションツールを取り上げられるなど、子供にとっては苦痛でしかないことを親は忘れてはいけないのだとも言えるでしょう。

ただし誰の目から見ても明らかに残虐で暴力的なゲーム、過激さだけしか取り得がないようなタイトルに関しては強制的に止めさせることも一応は検討すべきです。
フィクションと現実の区別がしっかりとついている子供なら問題はありませんが、感受性が強すぎる子供の場合は思想に何らかの影響が出る確率が、低いとはいえないとは言えないからです。

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暴力的なゲームと言っても非常に幅が広く、長時間プレイしたからといって子供に対して悪影響が出るとは限りません。
データによる裏づけがないメディアの捏造などには左右されずに、実際に子供の性格や言動に悪い影響が出ていないかを保護者の目線で確認しておけば、ネガティブな結果になる可能性は低いというのが実際のところだからです。

どうしても心配なので子供には極力健全なゲームを楽しんでもらいたいと考えている保護者の方は、タイトルのパッケージに記載されている対象年齢を重視しておくといいでしょう。
12歳以上推奨、15歳以上推奨などのR指定がありますので、子供の実年齢に合わせて購入するタイトルの物差しにしておけば比較的安全だからです。