ロビン・ウィリアムズ。
アーネスト・ヘミングウェイ。
川端康成。
彼らにはある共通点があります。
それは、アカデミー賞とノーベル賞の受賞者であり、皆、地位も名誉もある人です。
しかし、彼らは皆、自殺しています。
うつになり、アルコール依存になり、自殺をしてしまっているのです。
(川端康成は事故死説あり)
また、天才落語家である、桂枝雀も、うつ病で自殺をしてしまっています。
彼は演芸場に行くためにタクシーから降りたところ、
「演芸場に行くのが怖い」
と言いだし、その場でうずくまってしまったという、エピソードがあります。
しかも、彼は人から強制されて落語をしていたわけではなく、自ら落語を愛していたそうです。
笑いを科学するところまで研究をするほどでした…
「なぜ、彼らのような素晴らしい人がうつ病になるの?」
あなたはこんな風にお思いでしょう。
私はこう考えます。
地位があり、名誉があり、多大なる称賛を受けても…
その人が生きて行く上では何の糧にもならない、と。
つまり、
金も地位も名誉も学歴も、人が生きていく根源的な糧にはならないのではないか、
と私は思うのです。
生きていく糧とは何かと言うと、
地位と名誉がなかったとしても、自分が人としてこの世界で生きていけるという自信。
存在しても良いという自信。
人から認められ受け入れてもらえるという自信。
これが、人間が根本的に必要としている、生きて行く糧です。
これを“自己信頼”と言います。
他には、自己肯定感、自尊心、自己愛。
こういった言葉が使われますが、今回は自己信頼で統一します。
ペンシルバニア大学の教授であり、心理学者であるマーティン・セリグマンは
「うつの原因の大きな要因は自己信頼の低さによる」
という主旨のことを言っています。
(彼は自己信頼という言葉は使っていませんし、うつというかわりに「悲観的な考え」といっています)
つまり、自己信頼が低いことにより、悲観的な考えをもたらすのです。
それが、うつの原因になっているというようなことを言っています。
自己信頼が低い場合、お子さんには次のような症状問題が見られることがわかりました。
・自分に自信がない(自分のことに対して悲観的)
・「どうせ自分なんて」とよく口にする
・「死にたい」と口走る
・自己否定や劣等感が強い
・長所があるのに短所にしか目を向けない
・ストレスに弱い、受け流せない
・勉強、宿題に取り組めるはずなのに取り組まない
・決断できない
・何でもかんでも頑張り過ぎる
・○○しなければならないという考えが強い
例えば、こんなお子さんが過去にいらっしゃいました。
<動けなくなるケース>
とある子です。
将来したい仕事がはっきりしていて、それに必要な専門知識を学ぶために、ある大学に進学したいと決意しました。
そのために勉強もきっちりし、よい成績を取りたいと思っているのに、テストが近づくと、朝起きれなくなってしまいます。
テスト期間になると、目が覚めても布団から出てこられなくなるのです。
身体がピクリとも動かなくなってしまうのです。
<暴走するケース>
とある子です。
有名大学進学を希望しているのですが、受験期に入ると、一時も休もうとしません。
休むことを勧められると、
「さぼっているのではないか」
「もっとできるのではないか」
「手を抜いていいのか」
などという強烈な焦りや不安が生まれ、休むことが出来なくなってしまうのです。
そんな状態で勉強をしても効率は落ちる一方なのですが、このお子さんは休むことがまったく出来なくなってしまったのです。
自分で休もうと思っても、焦りや不安が勝り、勉強し続けてしまうのです…
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以上の症状は、どちらも自分の意思でアクセル・ブレーキをコントロールすることができなくなっています。
なぜコントロールできないのか?
その最大のカギを握っているのが
“親の言葉の記憶”と
“自己信頼の関係”
なのです。
親が何を求めてきたか?
子供にどんな言葉を掛けてきたか?
によって自己信頼の高い低いが決まります。
自己信頼が低いと、ある心理学的なメカニズムによって
どれだけ成績が良くても、
スポーツができても、
美男美女でも、
特技があっても、
そんなことは一切関係なく、
自分に自信を失い、
劣等感や自己嫌悪にさいなまれ、
自分の短所ばかり目につき
果ては自分の行動を自分の意志の力でコントロールできなくなっていくのです。
私たちがこの世界で、他者と健全に関わっていくにはかなりの自己信頼が必要です。
これがないと私たちはこの世界で人と関わって生きて行くことができなくなっていきます。
次回は、
自己信頼がゼロになると、一体どうなってしまうのか?
どうすれば自己信頼を高め、再登校できるようになるのか?
その方法を公開します。
(おわび)
今回は自殺という話を扱いました。
不登校のお子さんや親御様には
「死にたい」
「自分は生きている価値がない」
と口走る方が多くいらっしゃるのも事実です。
しかしショッキングな内容に変わりはありません。
不快に感じた方がいらっしゃれば、深くお詫び申し上げます。