こんにちは不登校セラピーと子供自信協会の新井てるかずです。
このたび文科省の発表によると、2021年度の小中の不登校の児童の数は24万4940人と過去最多を更新する結果となりました。
前年度から不登校の児童は25%増加しており、極めて深刻な事態であるといえます。
少子化により、年間80万人強しか子供が生まれない日本において、この不登校の増加率は驚異的であるといえます。
実際、私がこの仕事を始めた10年以上前と比べ、不登校の児童の数は約2倍に増えています。
おそらく遠くない将来、中学生の10人に1人は不登校、そんな時代がきてもおかしくはないと感じます。
この不登校の問題で懸念されることは、成人の引きこもりに移行することです。
実際、成人の引きこもりの多くは不登校の経験者であり、その頃から社会に対する認識が変わらないまま、年齢を重ねてきているものと思われます。
私は現在、数名の成人の引きこもりやニートの子の個人カウンセリングをしています。
その子らは異口同音にこういいます。
「社会が怖い。働くのが怖い。」
どういうことかというと、成人の引きこもりの子たちはこういうふうに思いこんでいるのです。
「社会というのはとても厳しく怖いところ。人は恐ろしく、何か失敗やミスをすると、すぐに非難される。」
特にSNSの時代では、悪口はすぐに拡散する性質をもっているため、SNSから得た社会に対する悪い情報を得て、彼らは戦々恐々としているのです。
成人の引きこもりの多くは、本当は「社会に出て、働きたい。」と願っているものの、社会に対してこんなイメージが定着してしまっているのです。
「社会は怖いところで、怖い人が多い。自分が失敗やミス、不十分で不完全な部分などをさらすと、すぐに悪口を言われたり、嫌われたりする。」
私が個人カウンセリングをさせていただいているご家庭では、親御様が既に愛着と共感には気をつけているため、家庭が今も怖くて恐ろしいところだということはありません。
では、この社会が怖い、人が怖い、働くのは恐ろしいというイメージはどこからきているのか?
実は彼らが過ごした小・中学校の時代の学校の雰囲気、イメージがそのまま残ってしまっているのです。
実際、彼らは小・中学校時代に不登校になってから、外の世界との交流をもたないまま、成人してしまっているので、「小・中学校の時代の学校のイメージ=社会のイメージ」となっています。
この社会のイメージは、ご家庭が愛着や共感に満ちても、なかなか容易には変わるものではないようです。
だからこそ現在、私が成人の引きこもりの個人カウンセリングで試しているのはその社会イメージそのものを書き換えてあげることです。
これはもちろん親御様のご協力が必須です。
「社会には怖い人が大勢いる。失敗したら、すぐに糾弾される。」という社会のイメージを現実に即しながら、私や親御様の就労体験に基づいて、こんなふうに彼らの凝り固まった認識を解きほぐしていくのです。
「実際はそんなことはない。」
「世の中はそんな厳しい人ばかりではない。」
「そんなに厳しい人や人から嫌われる人の方が周りから嫌がられるよ。」
これは現時点では一定の効果があがっているので、同時に彼らの自己肯定感や自分のやることに対しての自信を高めていくことを行っています。
実は先日、魔法ことばベーシック講座のライトコースの講義においても、子供の自信を高めるための4つのポイントの1つ、子供に興味・関心をもつということをお話ししました。
私が教えるような興味・関心の持ち方は、多くの親御様が今までしたことがなかったようです。
子供の言葉をあっさり片付けたり、子供との距離をとったり、子供が興味を持って取り組んでいることに対して放置ぎみだったり、そんな方が多かったようです。
これは親御様はそのつもりがなくとも、子供からすると「自分のやっていることに対しては親は興味・関心がない。どうでもいいことだ。」というふうに親御様は興味・関心をもっていないと思い込んでしまいます。
これが原因となり、子供は社会との交流を阻み、人間不信の要因になってしまうのです。
人間不信についてはこのメルマガでもふれていますが、改めてお話しすると、不登校や引きこもりで他人との交流に壁がある、そんな子たちは、ほぼ全員といっていいほど人間不信の感覚をもっています。
この人間不信の感覚を解消し、「自分がやっていることに親や人から関心をもってもらえて、肯定的に受け止めてもらえる。」という自信をもってもらうために、子供に対して、どのように興味・関心を向ければいいのかということが共感と並んでとても重要になっています。
成人の引きこもりは、現在年齢、過去の小・中学校の不登校歴、現在の家庭の状況、愛着や共感に対しての親御様の理解度などがさまざまに絡みます。
一概にいうのは難しいのですが、引きこもりの解決のためには、まずは愛着と共感で家庭の中を整え、子供のやる気や外に対する交流の意欲をもってもらうことが重要となります。
そのために親御様が子供に対して興味・関心をもちながら、愛着と共感で接することで、子供が自分のやることに対して自信をもってもらう必要があります。
その上で「社会は厳しい。人は怖い。働くことが怖い。」という誤った認識を子供がもっているのであれば、その認識を親御様との会話でゆっくり、じっくりと解きほぐしてあげることなどが必要になってくるのです。
実際、成人の引きこもりの子たちの話をきいていると、「社会は厳しい。人は怖い。」という認識をもってしまい、その不安に働きたい意欲が勝てず、うまく前に進めないという気持ちはとてもよくわかる気がします。
現実的に社会に嫌な上司、同僚、嫌なお客さんっていますものね。
SNSには悪口がよくあふれているものの、成人の引きこもりの子たちは、現実はそうではないというのは頭ではわかっています。
実際、私が個人カウンセリングした成人の引きこもりの子たちも、こんなふうに言っていました。
「頭ではこの世のすべてが怖くて厳しいというわけでないことは、わかりはじめているものの、なかなか心が追いつかない。」
こんな彼らの認識を変えてあげるためにも、さきほどいった3つのポイントを親御様がおこなってほしいのです。
- 親御様の愛着と共感をベースとした関わりで、まずは社会と交流する意欲を子供にもってもらうこと
- 親御様が子供に深く興味・関心をもって関わることで、子供に自信をもたせること
- 親御様ご自身の実体験にもとづいて、「社会はそんなに怖い人ばかりではないよ。愛想よくて親切な人の方が実際は多いよ。」という話をじっくりと膝をつきつめてすること
一度、不登校になった子の不安は完全に消え切ることはありません。
そもそも子供は不安を抱きやすい存在でもあります。それが現在の小・中学校の不登校の児童の数が24万以上という数字になって現れていると私は考えます。
もし、これをお読みの方で愛着と共感はだいぶしっかりできるようになったものの、あと一歩、何か不登校の解決のヒントが欲しいという考えの方がいれば、ぜひ今日の話を参考にしてください。
ホンモノ共感クイズ「新学期」
前回のホンモノ共感クイズには6名の方から回答をいただきました。ありがとうございます。
みなさん、お子さんの苦しみをよくみようとなさっていますね。とてもいいと思います。どれも素晴らしい回答で感心しました。
おそらく我が子に置き換えて、みなさんよく考えておられることと思います。
実際にこういう会話は不登校であれば、まず間違いなく1度はしたことがあると思います。
その中で皆さんなりにもう一度、共感する会話ならどのようになるかを考えておられるようで対話形式の回答はとても良かったと思います。
親御様が解決策を提案せず、ただ子供のマイナスの気持ちを深く聞く、この姿勢を身につけることが、子供を前に進ませる一つの大きなポイントになります。
ゆんさん
前々回のクイズのご回答の「リベンジ」とは、もう一度、おみくじを引くという意味なのですね。
これも共感を十分にしたあとなら、いいかもしれません。
こういいたくなる親御様の気持ちはよくわかります。
ホンモノ共感クイズ「社会は怖い」
あるお子さんは成人で、外出はでき、働きたいと思っていますが、なかなか一歩が踏み出せません。
なぜ一歩が踏み出せないのか深く聞いてみると、こんなふうに思っているようです。
「社会は怖いところ、人と深く関わるのは恐ろしいことだ。仕事は厳しいし、社会も厳しい。そんなところで僕はとてもやっていけない。」
こういったお子さん認識に対して、どうホンモノ共感をしつつ、みなさんご自身の実社会での人間関係の体験を伝えていきますか?
今回に限り、共感以外のプラス転換的な言葉を使っていただいても大丈夫です。
皆さんご自身が社会で経験してきた人間関係の良い面を伝えてあげて、「社会はそんなに怖い人ばかりではない。」ということをみなさんの言葉でお子さんに伝えてあげることがとても大事です。
実際、あなたが考えたホンモノ共感の言葉がけを1/23(月)19:00までにブログにコメントしてください。
来週1/25(水)に私が考えるホンモノ共感の言葉がけをお伝えしますので、この機会を活用して、不登校の改善に役立ててくださいね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。