M家では、子供3人が次々不登校に。心療内科や子育て相談に行くものの、全く改善されず。家庭のと親の問題には全く気づかないまま・・・
1 不登校になった経緯ときっかけ
M家にはお子さんが4人いました。長女が高校生、長男が小学生の高学年、次男が小学生になったばかり、次女が幼稚園児です。
しかし長女が突然、不登校になったのを皮切りに、長男、次男も次々に不登校になってしまいました。
お父さんもお母さんも、子供4人のうち3人も不登校になるのは、非常に危ないし、怒っても、怒鳴っても、宥めても、スカしても全く動かない。
これは専門家の手を借りるしかないと、不登校セラピーに訪れました。
なぜ、3人のお子さんが不登校になったのか?
その経緯とは、3人ともが不登校のお子さんに典型的な自己肯定感の低さ、自信のなさがあったからでした。
お子さんは3人とも、自分に全く自信がありませんでした。
平日の昼間から3人揃って、リビングでゴロゴロとゲームをしていました。
もちろん勉強は全くしませんでした。人に会うのを嫌がり、外出も嫌がりました。
彼らは学校でいじめを受けたわけではありません。
ではなぜ、このようなことになってしまったのか?
親御様は、理由が全くわからず、お子さんのことが理解できずに苦しんでいました。
2 不登校の解決のカギ
不登校の解決の鍵は、実はお母さんの劣等感でした。
不登校の子のお父さんは、とても愛情深く優しい人でした。しかし、子供が大声をあげたり、自分の思い通りにいかないと、怒ってしまうのでした。
例えば、子供たちがテレビを見ながら、騒いでいると、お父さんは「うるさい!」と怒っていたそうです。
また子供たちの勉強を熱心に見てあげていましたが、実は子供への注意が多く、問題の解き方や文字の書き方まで、細部にいたるまで細かく指示してくるようなお父さんでした。
お父さんは私のカウンセリングを受けて、「子供を怒ってはいけない。」と初めて知りました。
だからお父さんは「これは私が不登校の原因に違いない。」とお考えになりました。
それから怒ることを一切やめ、時折イライラはするものの、私から学んだホンモノ共感をコツコツ実践していかれました。
しかし、なかなか不登校の子供たちには、全く良い結果は出ませんでした。そこで長男さんのカウンセングをしているときに、わかったことがありました。
実はお母さんがお父さん以上に、子供の話を聞かずに、自分の希望や欲を子供に実現させようとしていたのです。
例えば、「野球の試合にでたくない。」と言っている子に対して、「野球大会に出て、優勝して、トロフィーを持って帰ってきなさい。」と言ったりしていました。
また「書道なんてしたくない。」と言っている子に対して、「書道大会にでて、賞状をもらって帰りなさい。」と言っていたりしました。
子供たちはそもそも、そんなものを欲していません。優勝や賞をとることに、全く興味も関心もないのです。
それにも関わらず、お母さんは子供たちの胸の内は全く意識せずに、自分の言いたいことだけを言い続けてきました。
それによって、子供たちは、「自分の話や感情は人には伝わらない。拒否される。」と思い込み始め、自己肯定感をあげることができず、3人とも不登校になったのです。
ではなぜ、お母さんは子供の意見、考えを全く聞かずに、自分のやって欲しいことだけを伝えるようになってしまったのでしょうか?
実は、お母さんのとても強い劣等感が原因でした。
強い劣等感があるからこそ、子供たちに自分のやって欲しいことをだけを伝えて、子供叶えてくれることを強く望んだのです。
このお母さんの劣等感とは一体、どこから生まれたのか?
実は、その原因はお母さんの生育環境でした。
お母さんは2人兄妹で生まれました。そしてお母さんのお母さん、つまり不登校の子のおばあさまの関心は、長男のお兄さんの方にばかりに向けられていました。
常に親の関心や関わりが、お兄さん中心だったと、子供の頃、お母さんは感じていました。
実はこれによって、妹であるお母さんに劣等感が生まれてしまったのです。
自分の親が共感しないもの、認めないもの、関心を持たないもの、距離を縮めようとしないもの、こういったものを子供は劣等な存在とみなします。
つまり、近づいてこない、興味や関心も持たれないのは、それだけの価値がないからだ。
「自分は価値がない。劣等なものである。」と認識してしまったのです。
親が劣等感を持つと、子供はどうなってしまうのか?
このMさんのお母さんのケースは、不登校の1つの典型例です。
劣等感を持った親は、無意識のうちに、全く悪気もなく、その劣等感を補うために、自分ではなく、我が子を頑張らせようとしてしまうのです。
これを無意識のうちにやってしまっている親は大変多いです。
なぜ、お母さんは子供のトロフィーや賞状を欲したのか?
それは家の中に目立つように飾れるからです。目立つように飾ることができれば、おばあさまの目にとまりやすくなります。
おばあさまの目に止まれば、孫はもちろん、お母さんに対しても、「あなたは子供をしっかり育てて、頑張れる優秀な子に育てたわね。」と関心を持ち、認められ、褒められるからです。
お母さんの劣等感は、実はおばあさまから認められ、自分は兄よりも優れていると感じたいがため、自力ではもうできない、頑張って目立つ、いい結果を出すということを我が子に無理やり求めていたのです。
このカラクリをやっと、分析であきらかにして、お母さんの劣等感をカウンセリングで和らげていったことが、不登校の解決の鍵でした。
そしてこのお母さんは、子供たちに対して、間違った言葉がけが多かったので、お父さんと一緒に、ホンモノ共感の言葉がけをよく学んでいただきました。
すると、最初に長女さん、次に次男さんがどんどん改善し、再登校しました。
そして長男さんも小学6年生の終わりから、学校に顔を出すようになり、中学からは無遅刻、無欠席で学校に毎日、顔を出すようになりました。
まさにお母さんの劣等感の解消が、不登校の解決の鍵だったのです。
もし、真の原因に気づかず、「子供をなんとか動かそう。学校に行かせよう。」とご両親がされていたら、3人どころか、4番目の幼稚園児のお子さんまでもが小学校に入った途端、不登校になっていたことでしょう。
それほど親の劣等感は、子供の不登校に大変強い影響があります。
劣等感が親御様に強ければ強いほど、必ずその強い劣等感に家族や子供までも巻き込んでしまうからです。
通常、親の問題は劣等感だけでなく、多岐にわたっていることがほとんどのため、劣等感以外の問題も、見つけ出し、解決せねばなりません。
ですが、Mさんのよかったことは、旦那さんが非常に協力的で、解決の方向性に向かって協力してくれました。
そしてもう1つよかったことは、お父さんは自分が怒鳴ったことが、子供たちに悪影響を与えていることをすぐに理解し、ご自身を変えるように努力してくれました。
さらにもう1つよかったことは、お母さんのお母さん、不登校の子のおばあさまに、この話を思い切ってしてみて、理解が得られるようになったことです。
こんなふうに今、どんな状況にあったとして、不登校は原因を特定し、それにあった解決策をすることで、100%解決することができます。
もし、あなたのご家庭が今、大きな不登校問題を抱えていたとしても大丈夫です。
いくつかの条件を整えていくことによって、不登校は必ず解決できます。