子供に学校を休ませる心構え

登校拒否になってしまった子供を自宅で療養させて、時間をかけて問題を解決し学校へ復帰させる方法は、登校拒否を改善する手段としてとても有効です。
少し時間がかかってしまうこともありますが、将来まで見据えた長い目で見た場合は最善であるとも言われます。
しかし、親としては世間体や子供をしっかりと教育しなければならないという責任感から、気持ちが焦ってしまいがちです。
その気持ちから、登校をすすめてしまったり、勉強するように促してしまうこともしばしばあるかと思います。

しかし、学校を休まなければならないほど心が疲弊してしまった子供に必要なのは、ゆっくりとした時間や安心できる居場所、そして許されている味方がいるという実感です。
親や周囲の人間が登校を促すような発言を聞くことで、子供は安心や居場所を奪われるような気持ちを感じます。
それでは学校を休んで療養を選択した意味がなくなってしまいます。

療養を選択した場合の子供との家での過ごし方は、焦らせず安心させることが第一です。
登校拒否の理由を話したがらない子供もいるため、その理由を探ることも大切ですが、それはあくまで子供がゆっくりと休める環境の中でできる範囲に留めることを意識しましょう。
子供には「親や家族はあなたを理解する味方である」という姿勢を見せることで、会話をしやすい環境を作ることができれば、子供の素直な気持ちを聞き出すきっかけになるかもしれません。
子供に学校を休ませて自宅で療養させるということは、親や家族もそれを受け入れ、問題を解決するために努力するという心構えが必要不可欠なのです。

具体的な家での過ごし方

子供が学校に復帰できるように手を尽くすことは大切ですが、無理をして何かをしたり、子供に行動させる必要はありません。
子供は不登校の期間が長くなると「他の子はきちんと学校に行っているのに、自分は家で休んでいる」という罪悪感を感じることが多くなります。
すると、家族の目がある家にいるのも辛くなってくるといったケースが少なからずあります。
しかし、親としては学校に行くのが辛いのなら安心できる家の中で休んでもらいたいという思いから療養させているので、このような状況になってしまうのは望ましくありません。

これらは、極力普段と変わらない接し方を継続することで軽減することができます。
よく会話する家族ならば普段通りに会話をすればよいですし、あまり会話のない家族ならば無理をして会話をする必要はありません。
普段通りの生活を続けながら子供の様子をしっかりと観察してあげることで、なにかしらの変化があったときにいち早く気が付いてあげられるはずです。

また、親が子供の様子を見ているように、子供も親の顔色を窺っています。
これは先述した家にいることの罪悪感からくる行動である場合も多いです。
子供は大人よりも他人の感情や行動の機微に敏感であったりするため、ちょっとした大人の行動で自分に対する自信をなくしたり、殻に閉じこもってしまったりします。
どうすれば子供を学校に復帰させられるかではなく、今子供は何を考えているか、ちゃんと休めているだろうかといった「子供の目線」で考えることで、心が疲弊してしまった子供への接し方がわかってきます。
子供にとって自由時間が多くなった普段通りの生活をしてもらえばいい、という大きな気持ちで構えましょう。

簡単な約束事を作って復帰のきっかけに

通常の学校に通っていれば、朝起きて登校し、夕方から夜にかけて帰宅したあとに食事や私用を済ませて就寝するという一定の生活習慣リズムが生まれます。
しかし不登校で自宅療養をしている場合は、これらが全てなくなるので生活のリズムが崩れがちです。
特に夜間は家族も寝静まり、人の目が特になくなるため子供にとっては一番自由を感じやすい時間帯になります。
そういった理由から、夜間に趣味などに没頭し、家族の目がある昼間は自室に閉じこもって寝ているといった夜型の生活になりがちです。
こういった生活は、学校に復帰する際の弊害になりやすいだけでなく、健康面からみてもあまりよいこととはいえません。
また、いくら会話の少ない家庭であったとしても、日に一度の挨拶くらいはしたいものです。

こういった点から、生活習慣を正しく保つ一環として、時間に関する約束事を作るのがとても有効です。
約束事といっても難しいことではありません。
朝食だけは家族揃って食べる、家族でお気に入りのテレビ番組を観る、といったようなごく簡単なことで構いません。
仕事などの関係で時間をとるのが難しい場合は、朝に出かける時の見送りだけしてほしいといったようなお願いをするとよいでしょう。
たったこれだけのことですが、毎日決まった時間に何かを行うという「習慣化」は生活のリズムを作るよいきっかけになります。
学校に復帰する際にも役にやつことでしょう。

親の観点からみた場合でも、毎日同じ時間に子供の顔を見ることができるのは、健康状態や機嫌をみるのに都合がよいとも言えます。
そこから会話が生まれることも期待できますので、強要しない範囲でお願いしてみましょう。

子供が望むなら習い事もあり

あくまで子供が望むようであれば、という前提ではありますが、習い事やフリースクールといった外出の習慣をつけることは大変よいことです。
不登校で自宅療養をしているとどうしても外出する機会が減ってしまい、引きこもりの状態になりがちです。
健康面から見てもあまり望ましいことではないので、子供の負担にならなければやらせてみるのもよいでしょう。

また、これは第三の居場所作りのきっかけとなることもあります。
趣味の習い事を始めたことがきっかけで、同じ趣味をもつ友人ができることもあるでしょう。
いくら家族が味方であると子供が意識していたとしても、同じ年代の子供相手や同じ趣味をもつ者同士でなければ話せないこともたくさんあります。
子供にとって、勉強の競争相手ではない共通の趣味をもつ友人というのは貴重な存在です。
学校と家の他に、子供にとって自分が安心して居てもいいと思える場所があることは、子供の精神的にもよい影響を与えますし、親や家族にかかる負担を軽減することにもなります。
また、これも決まった日時や時間に決まった行動をする「習慣化」を行うという目的でも有効です。
こうしたことを足掛かりに、学校へ復帰する子供も少なくありません。

外出が難しい場合は、通信講座なども活用できます。
趣味の範囲で楽しめるものから、将来の仕事に役立つ資格取得に繋がるようなものまでさまざまです。
「学校で勉強しないかわりに」といった理由ではなく「あなたの興味のあることをやってごらん」といったように提案をすることで、子供も比較的抵抗を感じることなく新しいことに取り組むことができるでしょう。

◇  ◇  ◇

登校拒否の子供を自宅で療養させる目的はあくまでも「子供に安心して休んでもらうため」です。
学校でなにかしらの問題を抱えていて、居場所がなくなった末に学校に行けなくなってしまっている子供にとって、家と家族は安心できる存在でなくてはなりません。
ですので、早く学校に復帰させたいといったような焦りは禁物です。

最終的にはもちろん復帰を目指しますが、休ませると決めたらしっかりと休ませて急かさないことが重要です。
普段通りの生活を送りながら、簡単な約束事を取り入れて復帰の準備を整えつつ、子供の心が休まるのを見守りましょう。
子供が興味を示すものは、積極的に取り入れて視野を広げてあげると学校に復帰した後に役立つことがあります。

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