Mさんはクラスで嫌われ、中学から不登校に。漢方医、心療内科、スクールカウンセリング、鍼治療など受けましたが効果がありません。

家では夜に落ち込んで泣き、昼頃起きてきてずっとスマホ・・・

1 不登校になった経緯ときっかけ

Mさんは街を歩くとよく声をかけられ、原宿を歩けば必ずスカウトが声をかけるような美人の女子高校生でした。

こんな美人であっても、やはり自己肯定感が低ければ、学校に行けなくなります。

 

Mさんは小学校の頃から成績優秀、ガリ勉でした。

中学に入った頃に、死んだと思っていたお父さんが実は生きていたと初めて知り、お母さんと一緒にお父さんの実家に行くことになりました。

しかし、ここでの生活は全くうまく行かず、お父さんのお母さんとは、衝突する日々でした。こじれにこじれて、お母さんとMさんは、お父さんの実家を出て、お父さんとは別々に暮らすことになりました。

この辺りからMさんの自己肯定感は目に見えて低下し、さらに超美人であるにもかからず、なぜか男子から「ブス。ブス。」と声をかけられるようになりました。

そして部活の人間関係もうまくいかなくなり、中1の時点で不登校が始まりました。

 

なんとか完全不登校は免れたものの、次は高校でまた大きな問題が起きました。

高校でできた友達グループの中での陰湿な女子同士の関係、それにクラスの中で一番気が強そうな女子の嫌がらせ、この2つが一気に襲いかかってきて、Mさんはついに完全不登校になりました。

 

お母さんが漢方医、心療内科、スクールカウンセリング、鍼治療など、ここがいいと聞けばありとあらゆるところに娘さんを連れて行き、治療を受けさせましたが、全く効果がありませんでした。

昼夜逆転し、昼ごろ起きてきて、ずっとスマホを見続け、夜中の3時、4時になって寝落ち、時々外には出るものの、外に出るからには完璧に化粧をしなければ、出られないという強迫観念によって、なかなか難しくなっていきました。

 

2 不登校の解決のカギ

Mさんの不登校の解決の鍵は、お母さんの共感でした。そもそもお母さんは働いており、直接Mさんの面倒を見ていたのは、おばあさまでした。

このおばあさまと言うのが、近所でも評判の人物でした。性格は男まさりで気性が荒く、自分の考えは絶対に曲げず、相手の話は全く聞かない。そして超学歴志向の人でした。

 

学校から帰ってきたMさんに勉強を特訓させ、「お前はT高校とT大学に必ず行け。」とまで、言い始める始末でした。

さらにMさんのプライバシーに全く配慮せず、悪意があるのではないかと思われるほどの口出し、手だし、干渉をし、Mさんを怒らせます。

 

例えば、Mさんには、大事なコレクションが入った棚がありました。

Mさんは、おばあさまにも家族全員にも、「これには決して触らないで。」と繰り返してお願いしていました。

ある日にMさんの部屋に入ったおばあさまは、「こんな無駄なものはいらない。邪魔だ。」と言って、中身とケースを丸ごと独断で捨ててしまったのです。

 

おばあさまは、全く共感力ゼロでした。そしてこのおばあさまが生み育てたお母さんも、もちろん共感力が低い方でした。

娘の話は、途中で遮って、自分の言いたいことを被せて話す。運転や料理など何かをやっていると、娘の声が耳に入らなくなり、後回しにしていました。

 

不登校になったMさんが、「頭が痛い。」と言うと、その痛さ、辛さへのマイナス共感は一切せずに、薬を持ってきて、「飲みなさい。」と言います。

あるいは、「ここにこういういい医者がいるよ。」「あそこにこんな医者がいるよ。」と言う話を持ってくるだけでした。

この共感欠如こそが、Mさんの自己肯定感を悪化させて、不登校にまでしてしまった大きな原因だったのです。

 

そこで私はまず強烈なおばあさまとの別居をお願いしました。さらにMさん本人のカウンセリングをしつつ、まずお母さんにちゃんと子供の話を聞くという共感の基礎を身につけていただくことにしました。

そして、徐々にホンモノ共感についてもお教えして、娘さんへの対応力を高めていただくことにしました。

 

思いのほか、強烈なおばあさまの価値観の悪影響がベッタリお母さんとMさんに染み込んでいたため、その価値観の悪影響を取り払っていくことに重点を置きました。

その結果、Mさんは東京にある自分が進みたいファッション系の大学に見事合格しました。

東京で一人暮らしをし、毎日通学しながら、大学生になってからのMさんは、多少大学内の友人や彼氏の言動に振り回されることもありました。

さらに授業や宿題がなかなかうまくこなせないと言う問題もありました。

しかし周りの人の協力によって、なんとかそこを乗り切り、今も通学を続けています。