1.不登校になった経緯
Uさんは中学から荒れ始めました。問題行動を頻発するようになり、親御様が何度も学校に呼び出しをくらうような事態まで発展しました。
そして不登校になりました。
Uさんは高校に進学するものの、まず1校目を喫煙で退学し、2校目も通学が続かず、退学しました。
その後、専門学校に入りますが、これも続かず退学し、バイトを始めても、数週間で通うのをやめてしまうことを繰り返していました。
そんな状態で自分たちの手には負えないと判断したご両親は、私に解決を依頼しました。
2.不登校の解決のカギ
不登校の解決のカギは、お母さんの共感欠如と「嫌われ不安」をなおすことでした。
実はUさんが中学に入ったあたりから、お母さんの共感力のなさが徐々に悪化していきました。特にUさんが高校に入ったあたりには、全く話が噛み合わない状態にまで悪化しました。
Uさんがお母さんに何を話しても否定ばかり、否定する話ではないのに全てを否定するといった、驚くべきような会話が繰り広げられていたのです。
Uさんはお母さんとまともな会話がしたいのに、お母さん自身が、愛着や共感がなく、冷たい子育てを受けてしまったために、そこから生まれた強い「嫌われ不安」によって、Uさんと向き合うことを回避し続けました。
そしてお母さんは、共感からも自動的に逃げてしまっていたのです。
例えば、こんな会話の状態でした。
Uさんが「あの店にあの商品あったね。」と話をすると、お母さんは「買わないからね。」とすかさず返事をするのです。
Uさんは「買って欲しい。」とは一言も言っていないのに、お母さんはまず否定をしてしまっていました。
Uさんが進路の話で、「俺、東大行こうかな。」といったならば、お母さんは「東大なんて難しいからやめておけ。」とすぐに返事をしました。
そしてUさんが「じゃあ、難しいところをやめて、現実的なところを志望校にしようかな。」といえば、お母さんは「ちょっと頑張って、上を狙ったら。」と返事を返すのでした。
こんな驚くべき調子のずれた会話が日夜、繰り広げられていたのです。
だからこそ、お母さんにホンモノ共感をコツコツ丁寧に指導させていただくと同時に、「嫌われ不安」を特別な技術「解除」で改善していきました。
お母さんの「嫌われ不安」を生んだ過去の要因は、自分の母親、つまりおばあさんにありました。
お母さんが幼少期に1度、誘拐されそうになったときに、それを自分の母親に訴えると、おばあさんはなんと、「そんなことあるわけがない。」と訴えを無視したのです。
それ以外にもUさんに対してお母さんがやったように、おばあさんがお母さんに対して「話を全く聞かない。嫌がる。逃げる。」ということが、「嫌われ不安」の大きな原因になっていました。
この「嫌われ不安」を改善していくことによって、お母さんはUさんと徐々に向き合うことから逃げなくなっていきました。
またホンモノ共感のご指導が功を奏して、お母さんと話してもUさんは不満を感じることがなくなっていきました。
それと同時にUさんが自宅で勉強を再開して、高卒認定試験に合格。その後、見事に大学にも合格しました。
今はパイロットを目指して、勉強に明け暮れているとお母さんからご報告をいただきました。
もちろんUさんの中学や高校時代に見られた問題行動は消えています。
このUさんのケースでは最初、お父さんのアスペルガーの気質が原因だと思われていました。(お父さんの共感欠如や言動もあまり良い状態ではありませんでした。)
実際の解決では、お父さんそのものはカウンセリングを受けず、お母さんの「嫌われ不安」と共感力の改善で不登校は解決しました。