1.不登校になった経緯

Mさんのお母さんは、人の評価を気にして、失敗を恐れ、とても機能的な考え方が強い方でした。

ご自身のお仕事は、「人から高く評価されるものでなければならず、一度失敗をすると、取り返しがつかない。」という不安をお持ちでした。

そして、その不安にしたがって、その不安を解消するような子育てをMさんにしてしまいました。

つまり当然、Mさんに対する共感はまったくありませんでした。マイナス言葉ばかりで、お母さんが不安なことがあれば、すべてMさんにぶつけ、日夜それを嫌うMさんと衝突していました。

これで当然Mさんが無事なわけはありません。Mさんは中学の初めから、不登校になってしまったのです。

 

そして男の子の不登校の例にもれず、Mさんは重度のゲーム依存になりました。

ひどい昼夜逆転にもなり、Mさんは朝方まで戦争ゲームに明け暮れました。そして早朝に寝て、起きてくるのは夕方という生活になってしまったのです。

親子の話し合いは全く成立せず、お母さんはいろんな不登校の解決方法に手を出すものの、全く改善しないという有様でした。

 

2不登校の解決のカギ

お母さんはそこで私が長期で開催している魔法ことばベーシック講座と出会い、すぐにライトコースに参加されました。

そして私が不登校の解決方法としてお伝えしている、ホンモノ共感をじっくりと講座で学びました。

そこでお母さんが心がけたのは、学校へ行かせるための共感はすべて上滑りして何も効果がないので、学校へ行かせるためではなく、心の底から本当に我が子に共感するための共感をすることでした。

 

この点は、不登校の解決のためにとても大事なポイントです。

私は不登校を解決する方法として、ホンモノ共感を教えています。しかし不登校を解決するために、共感が存在するものではありません。

ホンモノ共感とは、一生折れない自分軸と親子の心の絆をつくり、子供に「社会や他人はあなたの気持ちをわかってくれる。」という安心感を持ってもらうための具体的な技術なのです。

ここを取り違えると、いくら共感を学んでも、全くなんの効果もないということがよくあります。

ホンモノ共感とは、子供を動かすための技術ではないのです。この本質をMさんのお母さんはよく理解していました。

 

そしてもう1つ大事な点は、お母さん自身が、自分の機能的な考え方、価値観を変えたことでした。

本当に自分が幸せな仕事の仕方や生き方はなんなのか?他人の評価が幸せなのか?

これらをお母さん自身が深く考え直したのです。

 

不登校の親御様に非常に多く見受けられることが、自分軸がまったくなく、他人軸で生きているので、自分の幸せというのが他人の評価や世間の目にあるために常に不安に苛まれているということです。

これが親御様の仕事や子育てに大きく、強く影響し、自分の気持ちも子供の気持ちも優先できず、他人の評価を優先するという最悪な生き方を演じてしまっているのです。

このことに気づいたMさんのお母さんは、自分の幸せというものを深く深く考え直し、他人の評価を気にするのを一切やめました。

 

そして今まで、「失敗は取り返しがつかない。」という不安をともなうものだったのですが、自分軸をしっかりと確立させることによって、「失敗は取り返しがつく。その力が自分にも我が子にもある。」と考え直すようになりました。

これらによって、お母さんのMさんへの共感力と接し方は激変しました。

 

すると魔法ことばベーシック講座の参加のわずか2ヶ月後に、Mさんは突然、あれほど執着していた戦争ゲームを「もうやめた。」といい、ゲーム機を段ボール箱にしまいこみました。

そして、朝の5時まで起きていた昼夜逆転がピタッとなおったのです。

 

さらに講座の参加の3ヶ月後から、Mさんは学校に再登校しました。

これらはすべてMさん自身の自発的な意思によるものです。

 

その後さらにMさんは高校の進学から、留学を希望し、もともと得意であった英語の力をさらに伸ばそうと英語圏へ留学しました。

現地でなれない生活に奮闘して、困ったことや嫌なこと、腹が立つことがあれば、現地からお母さんに電話がかけてくるようになったのです。

そしてお母さんが共感でずっと電話で話を聞いていると、Mさんのそれらのストレスがいつの間にか消えるということを繰り返して、Mさんは今も留学先で安定的に登校を続けています。